男達に襲われて……気が付いたら、よく分からない世界にワープしてオリオンとかいう男に助けられて。
全ては夢のような出来事だけれど、夢じゃない。

そして……そんな状況にあってもなお、『あの日』の出来事を夢に見てうなされる自分が可笑しくて。
私はもう、笑うしかなかった。


「何を笑っている？」

突如かけられた、厳粛な声に振り返った。

「オリオン……」

そう。声の主は毛皮を腰に巻き、その手には大きな弓を持った彼であった。

昨日よりは緊張は解けたと思っていたのに、彼の持っているものを見るとまた、私の顔は強張るのが分かった。

「手に持ってるのは……」

「これから狩りに向かう。お前も一緒に来い」

「狩り……」

確かに……私と彼が身につけている毛皮。
昨日、食べた鹿肉……それらは、生きている動物を殺めないと手に入らないものだった。

だけれども……改めて『狩り』という言葉を聞くと、私の足はすくんで体は小刻みにガタガタと震え始めた。

「嫌……」

私はこの目でキッと彼を睨んだ。

「嫌よ。動物を殺すだなんて」

「何？」

彼もまた、その厳粛な面持ちを崩さず……眉間に皺を寄せて私を睨んだ。