「エアの行く先にトトが居る」
だから私はクラウンがトトになるのではなく、ブラッドこそがトトになる存在だと思っています。
この世界のトトを決める権利を持っているのは、何も星の涙だけではありません。
誰もが【この人こそが】と思った時が、その存在になれるのですから。
「確かに私はエアの守護者です。本来ならあの方の願いを優先させるべきだとは思っています。しかし今の私たちの主はエアではなくオフィーリアです。私はオフィーリアに幸せになって欲しいのです」
私はそう言ってアムール様に微笑んで見せた。
アムール様も私につられたのか、同じく優しく微笑んでくれると私の手を握ってくれた。
「分かった。お前がそう望むのなら俺もその手助けをさせてもらう」
「ありがとうございます。アムール様」
その手を握り返した私はもう一度、アムール様に微笑みかけた後に青空を見上げた。
✭ ✭ ✭
レーツェルの言う【幸せになってほしい】と言う願いは、他の誰でもない俺が一番理解出来るものだった。
俺はまだオフィーリアと言う人間がどういう存在なのかを知らない。
だがレーツェルやブラッドが、心から愛してしまう程の存在だと言うことは分かった。
愛した人のために強くなろうとするあいつの姿は、昔の俺に良く似ていた。
まるでもう一人の自分が目の前にいる感覚になって、昔の俺も周りからあんな風に見えていたのかと思うと、今更ながらに気恥ずかしさが込み上げてきた。
「行こうか、レーツェル」
「はい、アムール様」
俺は彼女の手を引いて歩き出す。
しかし本当の幸せと言うものはそう長続きはしない。
それは俺自身がこの身を持って実感していることだ。
レーツェルも分かっているはずだ。
例えオフィーリアを助け出したとしても、いつかは決断を迫られる日が必ずやって来る。
星の涙をその身に宿している以上、彼女こそが【この世界のエア】なのだ。
しかし俺だって二人には幸せな未来を歩んで欲しいと思っている。
ブラッドには大切な人を失うなんて経験はしてほしくない。
だから今度こそ絶対に守り抜いてみせるんだ。あんな思いは……もうたくさんだ。
「ごめん……守れなくて……、約束を……守れなくて!」
「……くっ」
愛した人を目の前で失う苦しみはブラッドには必要ない。
この苦しみは俺一人だけが抱えていればそれで良いんだ。
だから私はクラウンがトトになるのではなく、ブラッドこそがトトになる存在だと思っています。
この世界のトトを決める権利を持っているのは、何も星の涙だけではありません。
誰もが【この人こそが】と思った時が、その存在になれるのですから。
「確かに私はエアの守護者です。本来ならあの方の願いを優先させるべきだとは思っています。しかし今の私たちの主はエアではなくオフィーリアです。私はオフィーリアに幸せになって欲しいのです」
私はそう言ってアムール様に微笑んで見せた。
アムール様も私につられたのか、同じく優しく微笑んでくれると私の手を握ってくれた。
「分かった。お前がそう望むのなら俺もその手助けをさせてもらう」
「ありがとうございます。アムール様」
その手を握り返した私はもう一度、アムール様に微笑みかけた後に青空を見上げた。
✭ ✭ ✭
レーツェルの言う【幸せになってほしい】と言う願いは、他の誰でもない俺が一番理解出来るものだった。
俺はまだオフィーリアと言う人間がどういう存在なのかを知らない。
だがレーツェルやブラッドが、心から愛してしまう程の存在だと言うことは分かった。
愛した人のために強くなろうとするあいつの姿は、昔の俺に良く似ていた。
まるでもう一人の自分が目の前にいる感覚になって、昔の俺も周りからあんな風に見えていたのかと思うと、今更ながらに気恥ずかしさが込み上げてきた。
「行こうか、レーツェル」
「はい、アムール様」
俺は彼女の手を引いて歩き出す。
しかし本当の幸せと言うものはそう長続きはしない。
それは俺自身がこの身を持って実感していることだ。
レーツェルも分かっているはずだ。
例えオフィーリアを助け出したとしても、いつかは決断を迫られる日が必ずやって来る。
星の涙をその身に宿している以上、彼女こそが【この世界のエア】なのだ。
しかし俺だって二人には幸せな未来を歩んで欲しいと思っている。
ブラッドには大切な人を失うなんて経験はしてほしくない。
だから今度こそ絶対に守り抜いてみせるんだ。あんな思いは……もうたくさんだ。
「ごめん……守れなくて……、約束を……守れなくて!」
「……くっ」
愛した人を目の前で失う苦しみはブラッドには必要ない。
この苦しみは俺一人だけが抱えていればそれで良いんだ。