でもエアはそんな私を優しく抱きしめてくれた。

生きる希望をなくし、聖女と言う名の人形のように生きていた私に言ってくれたんです。

「もう泣かなくて良いのです。もう怖がらなくても良いんです。もう感情を押し殺す必要もありません。私があなたを助けますから」
　
その言葉を聞いた瞬間、涙がどっと溢れて私は泣き崩れました。

その時エアの側にはアムール様も居て、彼は泣き崩れる私の手を取って。

「一緒に行こう、レーツェル。ずっと望んでいた外の世界へ」

「……は、いっ！」
　
聖女としての私ではなく、一人の人間として見てくれたエアとアムール様。

そしてあの方々には感謝しています。
　
だからあの人たちと再び会うため、オフィーリアには申し訳なく思いながらも、一緒に魔剣集めの旅をしました。
　
その中で彼女はたくさん辛い経験をしました。

初めて信じた人に裏切られ、自分のために大勢の人が目の前から居なくなっていき、オフィーリアはずっと孤独でした。

そんな彼女を見ているはとても心苦しかった。
　
本当は一人の女性として愛した人と一緒に幸せになってもらいたかった。

使命なんかに囚われず自由に生きてほしかった。
　
そう思っていた中で私とオフィーリアは彼に出会いました。
　
出会いは最悪と言って良いほど、あまり良いものではありませんでしたが、きっとブラッドとオフィーリアが出会うのは必然だったんです。

「ねえ、レーツェル」

「はい、何ですかオフィーリア？」
　
オフィーリアは目の前に見える街に向かって指をさして言う。

「あの街に行ってみませんか？」

「あの街ですか？」
　
彼女がルークスに行きたいと言った時は正直驚きました。

今まで自分から【街へ行きたい】と言った事がなかったのでしたから。
　
でもオフィーリアが自分から行きたいと言ったんです。

だから私は彼女の言葉に従ってルークスの街へと入りました。

そしてあの場所でブラッドと出会った。