どうしてオフィーリアばかりが……こんな目に合わないといけないんだ！　

まるで彼女が生まれてきた意味って言うのが、【死ぬために生まれてきた】って言っているような物じゃないか！　幸せになる事を許されていないじゃないか！
　
何で俺はいつも……肝心な時にオフィーリアの側に居てあげる事が出来ないんだ！　前だってそうだったじゃないか！
　
あいつの手の上で踊らされていたとはいえ、俺は一時でもオフィーリアの側から離れた。

そのせいであいつの策にまんまと引っかかって、そのせいでオフィーリアは連れ去られた！
　
レオンハルトたちのおかげで、何とかオフィーリアは助け出す事は出来たけど、俺は致命傷に近い怪我を負ったせいで二週間も眠ってしまっていた。

その間にアルバによってオフィーリアは俺から離れる決断をした。
　
俺を守るために記憶の中から自分の存在を忘却して、俺の元から離れて行った。

そして今度はクラウンを俺に近づけさせないために、自らを犠牲にして手の届かない場所へと行ってしまった。
　
そう……俺はオフィーリアに【守る】と約束しておきながら、全然守ってあげる事が出来ていないんだ。
　
アルが居なかったらきっと俺は、今でもオフィーリアの事を忘れたままだったかもしれないし、普通にのうのうと生活を送っていたかもしれないんだ。
　
結局俺は……彼女に対して何一つしてやれていない！　こんな俺のために彼女は……たくさんの事をしてくれたと言うのに！　

俺は自分一人だけじゃ何も出来ない人間だ。

だが……誰かの力を借りないと助ける事が出来ないなら、俺は喜んでそれに縋り付いてやる。

どんな手を使ってでも俺は……お前を幸せにして見せる。死なせたりなんかさせない！

「俺は……彼女を失いたくない。だから……エアの願いなんて叶わなければ良いと思ってる」
　
伏せていた顔を上げた俺は二人にそう宣言した。