「俺じゃなくてあいつがオフィーリアを救う事が出来るだって……!? ふざけんなよ……! あんな血も涙もない人間でもないあいつが、唯一オフィーリアを救える存在だって言うのかよ!? あんな奴のどこを見てそんな事を言えるっていうんだ!」
 
右拳に力を込めた俺は思い切り振り上げると、それを勢いよく地面へと打ち付けた。

その拍子に軽い砂煙が立ち上がり、そんな俺をアルは目を細めて見てきている。

「ブラッド……気持ちは分かりますが、一旦落ち着いて下さい」

「……っ」
 
レーツェルの言葉に俺は力を込めていた拳を解き、深く深呼吸をして何とか怒りを抑え込もうとする。

しかし怒りの感情は表に出て暴れたがっているのか、抑え込もうとしてもジタバタと俺の中で暴れた。
 
それに焦った俺は守護石を握りしめた。

「ブラッド……」

「……っ! あんな奴が……!」
 
守護石を握りしめる力を強めながらも、俺は何とか口を開いて言葉を続けた。

「レーツェル……。俺の事は良いから、話を続けてくれ」

「で、でも!」

「レーツェル。ブラッドがそう言っているんだ。話を続けてくれ」

「……はい」
 
レーツェルも軽く深呼吸をすると話始める。

「これは絶対に確定事項という訳ではありません。しかしほぼ間違いなくクラウンは、オフィーリアを使って自分をこの世界のトトとして選ばせようとしているんじゃないかと、私はそう思いました」

「……その権利をオフィーリアが持っているっていうのか?」
 
俺の言葉にレーツェルは小さく頷く。

「はい。星の涙だけではトトを探し出す事は難しいんです。だから星の涙の現持ち主が【この人がトトです】と認めてしまえば、星の涙はエアの願いを聞き届けたとし判断して、この世から消滅し星に還る事でしょう」

「……おい、それって」
 
願いを聞き届けた星の涙はこの世から消滅して星へ還る。

もしそれが上手くいったら、オフィーリアを助ける事が出来るんじゃないのか? 虹の花が無くてもオフィーリアは生きながらえる事が――