ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

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「す、すみません……またお恥ずかしいところを見せてしまって」

「いやいや、全然恥ずかしくないだろ? 逆にレーツェルはちゃんと自分の気持ちを伝えられたんだから良かったじゃないか」

「し、しかし……話が脱線してしまったので」
 
レーツェルはさっきよりも顔を真っ赤にさせながら顔を伏せている。

そんな彼女の隣に座っているアルも軽く頬を染めながら、胸の前で腕を組んでそっぽを向いている。
 
そんなアルを見たら弄り倒したい衝動にかられたが、今はそんなことをしている場合じゃない。

「なあ二人とも。一つ気になっている事があるんだけどさ」

「何ですか?」

「どうしてお前たちには名前が二つあるんだ? その【スターチス】とか【ライラック】とか」
 
俺の言葉に二人は顔を見合わせると、思い出したように小さく声を上げた。

「そうでした。この世界の人たちにとって名前が二つあると言う事は、もう当たり前な事ではないのでしたね」

「……まあな。人間一人に名前は一つだ。俺だったらブラッドだし、オフィーリアだったらオフィーリアって名前がそれぞれ親に付けられた。でもアルとレーツェルはそうじゃない」

「名前が二つあると言っても、俺とレーツェルだって名前は一つだ。【スターチス】や【ライラック】は、名前と言うよりも【名字】と言った方が良い」

「名前と違うってことか?」

「そうだ」
 
アルの言葉に俺は考え込む。
 
自分の名前とは少し違う名字……か。

でも何でこの世界では【名字】と呼ばれる物が存在していないんだ? 

エアとトトが世界を作った時に廃止にでもなったのか?

「この世界と違ってあちらの世界は、日常的に奴隷売買が行われていたんです」

「っ!」
 
その言葉に俺は目を見張った。