「な、何を言っているんですか! そんなこと……出来るはずがありません!」
 
トトから持ちかけられた話に私は全力で反対した。

彼は一人で黒焔の太陽と戦うと、そう私たちに宣言したんです。

「……それ、本気で言っているの? エアが……それを許すと思う?」
 
クリエイトは軽く左目を細めるとトトにそう尋ねる。

「いや、許さないだろうな。だからお前たちだけに話しているんだ」

「私たちに……許せと、そう言ってほしいのですか!? そんなこと……出来ないです!」
 
私は顔を伏せて体を震わせた。
 
あの黒焔の太陽をトト一人で抑え込むなんて出来るはずがない。

みんなが命を掛けて倒した存在たちだと言うのに、それをトト一人でなんて……! 

それにこれ以上誰も失いたくなかった。

エアが心から愛した人の決断を、私とクリエイトだけで許すことなんて出来ない。

彼とエアを引き離してしまう事になる決断を……許すことは――

「いいよ……分かった」

「っ! クリエイト?!」
 
私は伏せていた顔を上げて、金色の瞳にクリエイトの姿を映した。

そんな私にクリエイトは目を細めると言葉を続けた。

「トトが……そう言うってことは、何か……考えがあるってこと。だから僕は……従う。それに例えもし、トトを連れて新しい世界に行っても……結局二人は結ばれない。一緒にいる事は……叶わない」

「それは……」
 
クリエイトの言葉に私は涙を浮かべた。そしてゆっくりと息を吐いて覚悟を決めた。

「……分かりました、トト。それがあなたの望みだと言うのなら、私とクリエイトは必ず無事に、エアと共に新しい世界へ行きます」

「……ああ。頼んだ」
 
その記憶を思い出した私は涙が止まらなかった。
 
私たちの姿が完全に消える最後、トトがこちらを振り返った。

そして最後に――

「愛しているよ、エア」

「――っ!」
 
彼のベニトアイト色の瞳から光が失われたのを目にしたが最後、私たちの意識はそこで途絶えました。