その姿を見て私とクリエイトは視線を合わせて頷いた。

「……まさか」
 
こちらへと向かって来る禍々しい魔力の波動を感じたエアは、両手のひらで星の涙を隠すと数歩後ろへと後退った。

「トト……!」

「エア、お前は下がれ! クリエイト、レーツェル。約束通りエアの事は頼んだぞ!」
 
トトの言葉に私とクリエイトは背後にエアを庇うように立った。
 
そして次の瞬間、奴は私たちの前に姿を現した。

『ウゥウゥ……ウォ……ゲェ……ウゥゥぅ……エェェェエアァァァァア!!』
 
トトは以前こう言っていました。

「この世界には俺たちだけでは浄化しきれない闇の存在がある。それはこの世全ての闇を背負って、日に日にその力を高めていっている」

――と。
 
その闇の存在こそがこの世界を破滅へと追い込んだ元凶――黒焔の太陽(こくえんのたいよう)

それは世界を支えていた精霊たちを食らい、猛毒をもったマナを生み出した存在でした。
 
猛毒と化したマナは、精霊を食らった事によりその味を覚えてしまった。

だから世界を支えていた精霊たちを食らい尽くし、この世界を破滅へと追い込んだ。

人の体の中にそれが入り込めば、人は自我を無くした化け物に変えられてしまう。

それは人だけでなく、狼人族や森人族など他の種族も例外ではありませんでした。

そして九種族戦争が引き起こされた。

誰もが生き延びるために居場所を求めて争い、殺し合ってたくさんの血と涙が流されました。
 
黒焔の太陽は主に、七つの黒い粒子によって成り立っています。
 
強欲の粒子、傲慢の粒子、色欲の粒子、怠惰の粒子、嫉妬の粒子、憤怒の粒子、そして暴食粒子。それらは別名【七罪の悪魔】とも呼ばれた。
 
名の通りそれぞれの感情を強く抱く者、強く願っている者の体内に入り込み、その者の魂を食らって体を乗っ取る。

そうして初めて七罪の悪魔たちは体を持つ事が出来て、自由に動く事が出来る。