「これで彼等は大丈夫です。自分が主だと認めた者が現れるまで目覚める事はありませんが、必ずまた全員巡り会えると信じています」

「はい、私も信じています」
 
エアは優しく微笑むと胸元に光っている星の涙に触れた。

「あとはこの世界を再生させるだけです。手伝ってくれますか? レーツェ」

「もちろんです! 私は最後まであなた様に付き従うつもりです」
 
私の言葉にエアは小さく頷くと外に向かって歩き出した。

「トトとクリエイトはどうですか?」

「準備の最終段階に入っています。後は星の涙を使って魔法を発動させるだけです」
 
私とエアはトトたちが居る場所へと向かった。
 
外に出ると世界は色をなくしたように、灰色一色の世界へと変わってしまっていた。
 
黒い粒子によって全ての物が蝕まれ、空はこの世界の破滅を告げるように、どんよりと濁った血色のように真っ赤に染まっている。

木々や草花は枯れ果て、命ある者は全て黒い粒子たちによって奪われていった。
 
でも……それもこれで全部終わらせる事が出来る。

この魔法が完成すればこの世界は元の姿を取り戻せる。
 
そう心から信じてエアの後を着いて行く。

「トト」
 
エアの声にこの世界の現状を目に映していたトトは、ブルームーン色に輝く短髪を揺らすとこちらへと振り返った。
 
風によって首元に巻いている青いマフラーが揺れ、左耳にはエアとお揃いの雫の形をしたピアスが揺れていた。
 
ベニトアイト色の瞳が優しく細められ、トトはエアの側へと歩いて来る。

「準備は出来たのか?」

「はい、後はこの魔法を完成させるだけです」
 
エアの言葉に頷いたトトは自分の隣に居るクリエイトに声を掛けた。

「クリエイトも準備出来ましたか?」

「……うん。出来たよ」
 
クリエイトはゆっくりとこちらを振り返ると小さく頷いてみせた。
 
ラベンダー色の髪が揺れ、前髪で右目は隠されているけど、スピネル色の左目の中に私の姿が映った。