ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「別に言わなくても良いだろう?」
 
これ以上探りを入れてきたらどうなるか分かってるよな? とでも言うように俺は満面の笑みを浮かべた。
 
俺の言いたい事が分かったのか、レオンハルトは諦めて軽く息を吐くと、降参するように両手を上げた。

「分かった。もう何も聞かないし詮索もしない。お前が怪盗をやっている理由は、少し前に聞いたからな」
 
その言葉を聞いて俺はニヤリと笑みを浮かべた。

そしてスプーンを持って紅茶を軽く掻き混ぜながら言う。

「さっすが魔道捜査一課のレオンハルト君。話が早くて助かるよ。いや〜、見逃してくれる事にも感謝しているんだよ」
 
レオンハルトに俺の正体がバレた時は流石にまずいと思ったし、確実に捕まると思っていた。

しかしレオンハルトは俺が怪盗をやっている理由を聞くと、捕まえるどころかこうして見逃してくれている。

どうやらルヴィナスにも報告していないようで、その話を聞いた時は自分の耳を疑ったよ。

でも逆にそれで良いのか? って思うところはもちろんある。

目の前に大泥棒が居るって言うのに、レオンハルトは俺の話を聞いて顳かみを軽くピクつかせながら紅茶を一口すすっている。

こうして見ていると、本当に俺の事を捕まえる気がないんだなってそう思わされるよ。

「そんなことより、今日はそんな世間話をしに来たんじゃないんだろ? 俺に話ってなんだよ?」
 
俺の言葉にレオンハルトは目を瞬かせると、胸ポケットから手帳を取り出した。

そしてあるページを開くと、俺に見せるように机の真ん中に置いた。

「……」

俺は一度レオンハルトへ視線を送ってから、机の真ん中に置かれた手帳の中身を覗き込んだ。