「悪い、レオンハルト。道化師の行方はお前に任せてもいいか?」

「ああ、任せろ。お前はお前自身がやると決めた事を、絶対に成し遂げろ。そして無事に帰って来いよ。俺とミリィは待っているから」

「ああ……ありがとな」
 
敢えて何も聞いてこないことに俺は感謝しながら、レオンハルトに背を向けて首から下げられる守護石を掴んだ。

「待ってろ、オフィーリア」
 
ごめんな、オフィーリア。

俺は必ずお前の元にもう一度辿り着く。

どのくらい時間が掛かるのかは分からないけど、オフィーリアが俺にしてくれたように、今度は俺がお前を守る番なんだから。

脳裏にオフィーリアとの思い出が蘇り、俺は真っ直ぐ前を見据えてレーツェルと共に走り出した。
 
そんな俺たちの姿を白銀の髪を持った女性が、優しい笑みを浮かべながら祈るように胸の前で手を組んだ。

「大丈夫……きっと……きっと」
 
白銀の女性は俺たちの背中を見送った後、その場からすっと姿を消した。