「……来るなって言うのかよ?」
 
徐々に白い光の粒となって消えていくオフィーリアは、俺の言葉に小さく頷いた。

しかし俺は――

「……いやだ!」
 
俺は消えかけていくオフィーリアに近づいて、彼女の体をぎゅっと力強く抱きしめた。

「……っ!」

「お前が俺から離れて行こうとしても! お前がどんなに俺を拒んでも! 俺は絶対にお前のところへ行く! お前の側から離れない! だって俺は――」
 
オフィーリアはずっと我慢していたのか、俺の存在を確かめるように背中に自分の腕を回すと、俺の胸に顔を埋めた。

そしてコクリと小さく頷いた。

「ごめん……ごめんな! オフィーリア! 俺なんかのためにお前は!」
 
オフィーリアは俺の言葉に頭を左右に振ると顔を上げた。

「オフィーリア……」
 
するとオフィーリアは俺の頬へと手を伸ばした。

じっと俺の顔を見つめると、自分の唇を俺の唇とへ重ねた。

「ん……っ」
 
オフィーリアからキスをされた事にびっくりした俺は顔を真っ赤にした。
 
どうしてオフィーリアからこんなこと?! だってオフィーリアは俺のことなんか……。

「ブラッド……」
 
オフィーリアは唇を離すと、俺の頬を両手で包み込んだ。

「ブラッド……私は、あなたを愛しています」

「っ!」
 
その言葉と共にオフィーリアの体が消えて行く。

腕の中からオフィーリアの姿が消えていくなか俺は叫んだ。

「オフィーリア! 待ってろ! 俺は必ずお前のところへ行く! だから……待っててくれ!」
 
オフィーリアは最後に優しく微笑むと、光の粒となって消えていった。

そして俺は我に返った。

「はあ……はあ……」

「大丈夫かブラッド!」
 
乱れる息を何とか整えつつ、俺は隣に居るレオンハルトへの姿を目に映した。

そうだ……あのまま俺は――