ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

しかしギルはこの右目の能力を、プロントには直接話していないそうだ。

ただギルは【実験の後遺症で、右目は変色してしまっただけ】と報告し、俺を魔法協会から遠ざける為に根回しをしてくれた。

そのおかげで魔法協会から目を付けられることもなかったし、バレないように生活を送る事が出来た。

だからギルだけは唯一、魔法協会で信用出来る人間なんだ。

……まあ、今回の件については物凄く怒られたけどな……。

そんな事を思い出しながら新聞を机の上に置いた時だった。

ピンポーン――

屋敷のインターホンがなる音が部屋の中に響き、紅茶のカップを置いた俺は玄関へと向かった。

屋敷の扉を自分の方へ引くと、そこには案の定レオンハルトの姿があった。

今日は非番なのか私服姿だった事に少し驚きながら、屋敷の中へとレオンハルトを招き入れた。

✩ ✩ ✩

「何か飲むか?」

「紅茶で構わない」
 
そう問いかけながら、レオンハルトが椅子に座るのを確認して、俺は紅茶を淹れる準備を始める。

ミリィほど上手く淹れる事は出来ないが、不味くない程度に淹れる事は俺にだって出来る。
 
淹れたての紅茶をレオンハルトの前に出し、向き合うように俺も席に付いた。

「傷の具合はどうだ?」
 
その言葉に肩が軽く上がった。

そして着ている服の下に隠れている包帯に目をやり、俺は何事もないようにレオンハルト向かって右肩を回した。

「この通り生活を送れるくらいには回復したよ。仕事の方も三ヶ月疎かにしたんだ。そろそろ仕事を何件か請け負わないと、金がなくなりそうだ」
 
そんな冗談地味た言葉を口にし、紅茶の入ったカップの取っ手を掴み掛けた時だった。

「それはどっちの方のだ?」

「……っ」
 
取っ手を掴みかけた手が止まり、俺は目を細めてレオンハルトの顔を見つめた。
 
そうだった……。

こいつは俺が怪盗レッドアイだって知っていたんだ。

だから表か裏の仕事かどうか聞いてきたのだろう。
 
もちろんこいつに懇切丁寧に教える義理はないので。