『本当にそうか?』
「――っ!」
そのとき頭の中でさっき聞こえた男の声が再び流れた。
俺は頭を抱えていた手を離し、恐る恐る声が聞こえた方へと振り返った。
『どうして彼女がお前から離れて行こうとするのか、それにはちゃんと理由があるはずだ。その理由が何なのかを考えることもせず、勝手に彼女がお前を置いて行こうとしていると、決めつけて良いのか?』
コツコツと靴音がこちらへと近づいて来るなか、徐々に声の主の姿が見え始めたところで、俺は怒りで震わせていた体に力を込めて立ち上がった。
ギロリと左目を細めて俺は声の主に向かって叫ぶように言う。
「うるっせぇんだよ! 誰だか知らねぇけど! お前に俺と彼女の何が分かるって言うんだ!」
紅色の髪が足を止めたと同時に軽く揺れ、薄ピンク色の瞳を持った高身長の青年は俺の言葉に軽く目を細めた。
『ああ、お前の言う通り俺は何も知らない。しかし俺は今のお前より、彼女がどうして自ら敵の元へ行ったのか理解出来る。だが本来ならそのことには、お前が一番理解していないといけないことなんだよ。それを今のお前は全然分かってない』
「な、んだと……!」
その言葉に俺は更にイラッとした。
どうして初対面のこいつにそんなことを言われないといけないんだ!
その言い方じゃまるで、俺が彼女のことを何も考えていないって言っているような物じゃないか。
だから俺は腹が立ったんだ。
こいつが言ったことを今直ぐにでも否定すれば良い物を、俺は否定することが出来なかったからだ。
それはつまりこいつが言っている言葉が正しいからと、怒りに身を任せながらも分かっていたからだ。
記憶の中の彼女がこの守護石を置いていったのだって、俺を守るためだと分かっていた。
クラウンのところへ行ったのだって俺を守るためだ。
だが……どうしてお前はそこまで俺を守ろうとしてくれるんだ!?
その理由が……分からないんだ!
「――っ!」
そのとき頭の中でさっき聞こえた男の声が再び流れた。
俺は頭を抱えていた手を離し、恐る恐る声が聞こえた方へと振り返った。
『どうして彼女がお前から離れて行こうとするのか、それにはちゃんと理由があるはずだ。その理由が何なのかを考えることもせず、勝手に彼女がお前を置いて行こうとしていると、決めつけて良いのか?』
コツコツと靴音がこちらへと近づいて来るなか、徐々に声の主の姿が見え始めたところで、俺は怒りで震わせていた体に力を込めて立ち上がった。
ギロリと左目を細めて俺は声の主に向かって叫ぶように言う。
「うるっせぇんだよ! 誰だか知らねぇけど! お前に俺と彼女の何が分かるって言うんだ!」
紅色の髪が足を止めたと同時に軽く揺れ、薄ピンク色の瞳を持った高身長の青年は俺の言葉に軽く目を細めた。
『ああ、お前の言う通り俺は何も知らない。しかし俺は今のお前より、彼女がどうして自ら敵の元へ行ったのか理解出来る。だが本来ならそのことには、お前が一番理解していないといけないことなんだよ。それを今のお前は全然分かってない』
「な、んだと……!」
その言葉に俺は更にイラッとした。
どうして初対面のこいつにそんなことを言われないといけないんだ!
その言い方じゃまるで、俺が彼女のことを何も考えていないって言っているような物じゃないか。
だから俺は腹が立ったんだ。
こいつが言ったことを今直ぐにでも否定すれば良い物を、俺は否定することが出来なかったからだ。
それはつまりこいつが言っている言葉が正しいからと、怒りに身を任せながらも分かっていたからだ。
記憶の中の彼女がこの守護石を置いていったのだって、俺を守るためだと分かっていた。
クラウンのところへ行ったのだって俺を守るためだ。
だが……どうしてお前はそこまで俺を守ろうとしてくれるんだ!?
その理由が……分からないんだ!



