「に、がすかよ!」
俺は右目に魔力を注いで何とか奴らの足取りを追おうとした。
しかし頭に走る頭痛によって意識を集中させることが出来ず、上手く右目に魔力を注ぐことが出来なかった。
そして右目に魔力を注ごうとした反動による物なのか、頭に走る頭痛がさっきよりも悪化し、俺は地面に両膝を付いてうずくまった。
「ぐうっ!!!」
「ブラッド?! しっかりしろ!」
頭の中に流れていく記憶によって、俺の意識はその中へと飲まれていった。
「俺からしたら朝六時に起きると言う、お前のそのクソ真面目な思考が有り得ないけどな」
「俺とこうしてケーキを食べている。それはもう見ず知らずの関係じゃないさ」
ドクンドクンと心臓の鼓動も早くなり、体はさっきよりも熱くなってきて息遣いも荒くなってきた。
ぐらりと大きく目の前が揺れたと同時に彼女の記憶も流れ始めた。
「ブラッドが辛い思いをして来たのは分かります。家族の仇を討つために、道化師を追っている理由だって理解できます。でも命を捨ててまで仇を討つことを、私は納得することは出来ません!」
「たとえ短い命だとしても、他の人たちと違った存在だとしても、私はそれでも十分与えられたと思っています」
「だから私は星の涙を守ると共に、八本の魔剣を集めなければいけないの。エアとトート、そして守護者たちが交わした約束を果たすために」
黒いペンで塗り潰された彼女の顔が見え始めたところで、頭の中を駆け回る無数の記憶の欠片たちは、姿を消すようにすっと消え始める。
「ま、ただ!」
いつもそうだ。
何か大切なことを忘れてしまっているはずなのに、それを思い出そうとする度に、お前はそうやって何も言わず俺から離れて行く。
ずっと俺に背中を向けたままで振り返ることもなくて、顔だって見せてくれない。
ただお前が俺に与える物と言えば、思い出そうとする度に襲われる激しい頭痛と、とても切なく泣きたくなるような感情だけだ。
どうしてお前は……俺を置いて行こうとするんだ!
俺は右目に魔力を注いで何とか奴らの足取りを追おうとした。
しかし頭に走る頭痛によって意識を集中させることが出来ず、上手く右目に魔力を注ぐことが出来なかった。
そして右目に魔力を注ごうとした反動による物なのか、頭に走る頭痛がさっきよりも悪化し、俺は地面に両膝を付いてうずくまった。
「ぐうっ!!!」
「ブラッド?! しっかりしろ!」
頭の中に流れていく記憶によって、俺の意識はその中へと飲まれていった。
「俺からしたら朝六時に起きると言う、お前のそのクソ真面目な思考が有り得ないけどな」
「俺とこうしてケーキを食べている。それはもう見ず知らずの関係じゃないさ」
ドクンドクンと心臓の鼓動も早くなり、体はさっきよりも熱くなってきて息遣いも荒くなってきた。
ぐらりと大きく目の前が揺れたと同時に彼女の記憶も流れ始めた。
「ブラッドが辛い思いをして来たのは分かります。家族の仇を討つために、道化師を追っている理由だって理解できます。でも命を捨ててまで仇を討つことを、私は納得することは出来ません!」
「たとえ短い命だとしても、他の人たちと違った存在だとしても、私はそれでも十分与えられたと思っています」
「だから私は星の涙を守ると共に、八本の魔剣を集めなければいけないの。エアとトート、そして守護者たちが交わした約束を果たすために」
黒いペンで塗り潰された彼女の顔が見え始めたところで、頭の中を駆け回る無数の記憶の欠片たちは、姿を消すようにすっと消え始める。
「ま、ただ!」
いつもそうだ。
何か大切なことを忘れてしまっているはずなのに、それを思い出そうとする度に、お前はそうやって何も言わず俺から離れて行く。
ずっと俺に背中を向けたままで振り返ることもなくて、顔だって見せてくれない。
ただお前が俺に与える物と言えば、思い出そうとする度に襲われる激しい頭痛と、とても切なく泣きたくなるような感情だけだ。
どうしてお前は……俺を置いて行こうとするんだ!



