何でそんな回りくどい事をするのか、大体の予想は付いている。

それはあいつらが俺とレオンハルトを、道化師の仲間なんじゃないのかと疑っているからだ。

しかし俺と違ってレオンハルトは立場上の成績がある。

だからレオンハルトは俺と違って、直ぐに開放されるだろうと思っていた。

でもあいつは……それを許さなかった。

「お前らが納得するまで、俺はブラッドとここに残る。立場上の成績のおかげで開放されても、お前たちは納得しないだろう」
 
そんな事を隣で言い出すもんだから、俺は顔を引きつらせながら【まじかよ……】と思って肝が冷えた。
 
いや、うん。

正直言うと、残ってくれるのは心強しいちょっとは嬉しかったよ。

でもな、その言葉を魔法協会で一番偉い奴に言い放った事に関しては肝が冷えたぞ!
 
あの時、俺たちの前で鋭い瞳を浮かべていた魔法協会の主教――プロントが、レオンハルトの言葉に更に表情をキツくした事を、俺は今でもハッキリと覚えている。

二人の間で火花が散っているのが見えて、あの場に居た誰もが【ここから出てきたい】と、そう思ったに違いない。
 
あの時の事を思い出すと今でも背中に寒いものが走るが、ギルやルヴィナスたちのおかげであっちも何とか納得してくれて、ここ最近やっと開放されたんだ。

長時間の質疑応答と、四六時中監視されていた事に疲れて、精神的に参っていた部分もあったが、俺が一番ヒヤヒヤしていたのはこの右目の事だった。

あっちが直接話に触れてくる事はなかったが、主教のプロントは俺がクラウンの人体実験を受けていた事を知っている人間の一人だ。

だからあいつはレオンハルトよりも、念入りに俺の人間関係を探っていた。

ギルを呼んだのだってそうだ。