ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

この魔力の正体を間違えるはずなんてない! 

こいつは間違いなく……!
 
俺は何とかどす黒い感情が表に出ないように抑え込み、レオンハルトの方へ振り返って問いかけた。

「レオンハルト。俺はこれから瞬間転移(テレポーテーション)の魔法を使って、魔力を感じ取った場所に飛ぼうと思う。お前はどうする?」
 
その問いかけにレオンハルトは少し間を空けると、強い覚悟を持った目を浮かべる。

その姿に俺は目を見開く。

しかし直ぐに微笑して、俺はレオンハルトと一緒に魔力を感じ取った場所へと瞬間転移した。

✩ ✩ ✩

瞬間転移を使ってスイレンから少し離れた場所に飛んだ俺たちは、街全体を見下ろせる見晴らしのいい丘へと降り立った。
 
そして直ぐに顔を上げた時、そこには予想通りの人物が顔を微笑させながら立っていた。

その姿を見ただけでも腹が立った俺は両拳に力を込める。

「クラウン……!」
 
そこにはクラウン以外にも、アルファ、ベータ、そしておそらくガンマと思しき人物たちが、クラウンの後ろに立ちながら警戒心むき出して俺たちを見下ろしてきていた。
 
いったい何の用でそっちから攻撃を仕掛けてきたのかは知らないが、こいつらに見下されるのは腹が立って仕方がない! 

……他の奴も腹が立つけどさ!
 
俺は怒りで体を震わせながらもそっと息を吐いてクラウンに問いかける。

「全員お揃いでどうしたんだよ? 改まってご挨拶か?」
 
その言葉にクラウンは軽く頭を左右に振った。

「いいや、違うよ。今日は君たちに話があって来たのさ」

「……話だと?」
 
そんな三人の護衛を引き連れておきながら、わざわざ俺たちと話をするためだけに攻撃を仕掛けたって言うのかよ? 

こいつがそんなしょうもない理由だけで、俺たちに攻撃を仕掛けてくるなんて有り得ないな。

絶対何かあるはずだ!