もしかしてミリィがあんな性格に育ったのって、こいつがそもそもの原因なんじゃないのか!? 

さっきの言葉と声のトーンなんて、ミリィが俺に冷たい言葉を投げつける時とほぼ似たような感じだったし……。
 
まあミリィはずっとあいつの側に居たし、背中を追い続けていたから雰囲気と口調が移ってしまったのかもしれないけど、それはそれで何て事をしてくれたんだと、俺を置いて先を歩くあいつを説教してやりたいところだ。

「はあ……まったく」
 
しかし説教をしたところで、逆に自分が他の事で説教されている未来が見えてしまい、俺は軽く息を吐きながら、レオンハルトの後ろを追いかけようとした時だった。

「――っ!」
 
こちらに向かって来る嫌な魔力の波動を感じた俺は、直ぐにレオンハルトの側に駆け寄り左腕を掴んだ。
 
そんな俺に気がついたレオンハルトは、ヤレヤレとでも言うように溜め息を溢すとこちらへと振り返った。

「何だよ? そんなに自分の話を聞いてほしいのか? だったらそれは部屋に帰ってからでも――」

「光の精霊よ、守護の精霊よ、汝たちの力をもって我らを守りたまえ! 反射(リフレクション)!」
 
魔法の発動に気がついたレオンハルトは目を見張る。

すると俺たちに向かって来ていた闇の波動(ダークウェーブ)が、勢い良く反射にぶつかった。

反射が闇の波動を跳ね返すのを見届けた俺は、右目に魔力を注いで魔法の出処を探った。

そして俺の脳裏に嫌な奴の顔が浮かび上がった。

「やっぱりこの魔力……!」
 
魔法を放った正体を知った俺は、体の中でどす黒い感情が芽生えていくのを感じながら強く歯を噛みしめた。