レオンハルトと合流した俺は、お互いに聞き込みをして得た情報の報告をし合っていた。

「港近くのカフェで聞き込みをしてみたけど、特にこれといった情報は得られなかった。道化師の名前すら聞かなかったな」

「こっちも同じだ。怪しい集団や闇魔法を使っている奴らの目撃情報もない」
 
レオンハルトは軽く息を吐くと、開いていた手帳を胸ポケットにしまった。

その姿を横目で見ながら、俺はスイレンの街並みを見つめた。
 
聞き込みを開始してまだ一日も経っていないけど、まさかここまで奴らの情報を掴めないとは思っていなかった。
 
スイレンの街にアジトがあるって情報を掴めたことは大きかったが、このまま何一つあいつらの情報を掴めなかったら、長期戦になることは覚悟しておいた方が良いのかもしれない。

「レオンハルト。魔法警察の動きはどうなんだ?」

「少し様子を見張ってみたが、どうやらあっちも手詰まりのようだ。ルヴィナスさんの命令で、ミューズとナインは魔法を使っているはずだ。しかしそれでも動きがないってことは、上手く行かなかったんだろう」

「そうか……」
 
あの二人の魔法を使っても得られる物はなかったのか……。

まあ予想通りと言えば予想通りだな。
 
クラウンは二人が魔法を使う事を視野に入れて、この街にあるアジトの行方を掴めないように上手く工作したってことになる。

しかしその工作がどういう物なのかは現時点では分からない。
 
これは聞き込みをするよりも、あいつらがアジトにしそうな場所を虱潰しに当たってみるのも有りだな。
 
と、そんなことを考えていた時。

「そういえばブラッド。その腰にある剣はどうしたんだ?」

「ん? ああ、これか」
 
腰にある剣について聞かれた俺は、その存在を思い出して鞘から剣を抜いてみせた。

「貰ったって言うか、拾ったと言うか……まあよく分からん」

「分からんって……お前なぁ」
 
苦笑しながら溜め息を吐くレオンハルトを横目で見つつ、俺は剣を鞘に戻した。

そして胸の前で腕を組んだ。