「オフィーリアはブラッドさんの側に居るよりも、クラウンの側に居る方がずっと幸せになれるんだ」
 
その言葉に私は目を見張って怒りで刀身を震わせた。

『あなたは……いったい何を見ていたんですか! オフィーリアが幸せになれるのはたった一つだけ。それは彼の隣に居ることです! クラウンの側に居たら、彼女は不幸になって壊れてしまいます!』
 
私の言葉にアルバは頭を左右に振る。

「ブラッドさんではオフィーリアを幸せに出来ない。あの人ではオフィーリアを死に追いやらせるだけだ」

『そんなことありません! 彼は命を掛けてオフィーリアを守ってくれました。それは誰よりも彼女を愛し、共に未来へ歩んで行くために。だからこそブラッドは、星の涙をどうにかしようと必死に情報を集めて――』

「そんなの無意味だ」
 
彼の冷めきった言葉に私は目を丸くした。

「オフィーリアの寿命はとっくに二年を切っている。そんな限られた時間の中で、あの人が星の涙をどうにか出来るとは到底思えない」

『……っ』
 
アルバは私に背を向けると、真っ暗な路地の奥へと向かって行く。

「だから俺は全てをクラウン様に託した。母さんを殺した憎き相手だが、今のオフィーリアを救えるのは、あの人を置いて他に居ないと思っている」
 
少し先を歩いたアルバは足を止めるとこちらを振り返った。

そして――

「だってあの人が、【この世界のトト】になる人なのだから」

『っ!』
 
この世界の……トトですって! だからクラウンは……!

あの男の狙いは星の涙だけのはずだった。

しかしクラウンはいつの日からかオフィーリア自身にも固執するようになっていた。

それには何か理由があると私はずっと思っていました。

そしてその理由がたった今判明した。

クラウンはオフィーリアを使って――