「本当の彼を……探して――」
 

あの言葉の意味はエアが星の涙に願った、『トトが本当になりたかった彼』だったんだ。

そしてエアが言っていたその彼こそが俺……。

「……じゃあ、何か? 俺は……お前のその身勝手な願いによって生まれた、正真正銘『この世界のトト』ってわけか?」
 
その言葉を聞いたレーツェルは顔を青くした。
 
エアの願いによって生まれた『トトが本当になりたかった自分』――それが俺で、そのせいでどれだけの人が死んだ? 

何人もの人が人生を台無しにされた?

「……お前! ふざけるなよ!!」
 
俺は両拳に力を込めてそう叫んだ。

「お前のその身勝手な願いによって、どれだけの人が人生を犠牲にしてきたって言うんだよ!! オフィーリアだって!!!」

「ブラッド……」
 
レーツェルは涙を流しながら、アルの胸に顔を埋めた。

「じゃあ何のために星の涙をこの世に残した!? 俺が生まれるように願ったのなら、星の涙なんて必要ねぇだろ! それがなければオフィーリアは……オフィーリアは!!」

「それはエアの新しい体になってもらうためだよ」

「っ!」

クリエイトは泣いているエアを慰めながら、そうあっさりと言ってのけた。

「エアはこの世界を作った時にはもう、肉体に限界が来ていた。だから僕はエアの魂を星の涙の中へと移した。そしてそれをレーツェルに託して、ブラッドが生まれてくる時まで、星の涙を受け継いでいかせるようにした」

「……そんな。じゃあ私は……あの時からずっと」
 
レーツェルはオフィーリアたちの事を思い出したのか、エア同様その場に座り込んでしまった。

「レーツェル!! ……クリエイト、エア……お前たちは!!」
 
アルはレーツェルの震える体を抱きしめながら、鋭い視線を二人へと向ける。

「じゃあセシルの体を作ったのも……」

「オフィーリアは星の涙を持って姿を眩ませていし、オフィーリアの体がエアの魂を抱える器に値するのか分からなかった。だから僕は、クラウンを使って君の妹の体を借りた。いや、肉体は違うけど魂は使わせてもらった」

「っ!!!!」
 
その話を聞いて俺の中でどす黒い感情が生まれた。

今すぐクリエイトを殺したかった。エアを殺したかった。

そして自分自身でさえ殺したくなった。

「でも……この世界はどうやら、エアの事を傷つける世界のようだね」
 
クリエイトはそう呟くと、エア自身に手をかざした。