ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

俺は地面に上手く着地し、クラウンの姿を見つめる。

「……こ……の、俺が!!」

「なっ! あいつまだ!」
 
クラウンは体中から血を流しながらも、何とか両足で踏ん張ってその場に立っているようだった。
そして今度は左手を使って、自分の右目の中に埋め込まれた義眼を取り出した。

「……まだ、まだだ!」
 
その言葉を聞いたクリエイトは、魔剣の姿から元の姿に戻ると、クラウンの手の中にあった義眼を受け取った。

「クリエイト! お前!!」
 
サファイアはクリエイトへと手をかざす。

しかしサファイアは攻撃が出来ないのか、辛そうに表情を歪めた。

「ブラッド。君の覚悟と思い、見させてもらった」

「……クリエイト……。お前、こんな事してまで一体何が目的だったんだよ!」
 
クリエイトはクラウンの前に立つと、手の中にある義眼を頭上へとかざした。

そして次の瞬間、掲げられた義眼がドクンと脈打つと眩い光を放った。

「くっ!」

「ま、眩しい!!」
 
眩い光がこの一体を包み込んだ。

「……っ」
 
俺は光が止んだのを感じ、ゆっくりと目を開いて、目の前の光景に目を見張った。

「なっ!!」
 
それはこの場に居た全員が驚かざるを得ない光景だった。
 
クリエイトが義眼を使って作り出した者、それは――

『え、エア……』
 
そうポツリとレーツェルの声が響いた時、目を閉じていた彼女が、ゆっくりと目を開いた。

『そんな……なぜ、エアがここに!?』

「……イト。お前……」
 
レーツェルとアルはそれぞれ元の姿に戻ると、クリエイトの隣に居るエアに視線を送る。
 
エアはアルたちの姿に気がつくと、彼らに言葉をかけることはせず、自分の後ろに居たクラウンへと振り返った。

「お、おぉエア! エア!!」
 
エアの姿を見たクラウンは、涙を流すと彼女に懇願するように両手を組んで、深々と頭を下げた。

「おぉ、エアよ、俺の愛しいエアよ。ようやく、ようやくあなたと再会を果たす事が出来た! 俺は自分こそがこの世界のトトになるため、そしてあなたを迎えるために頑張って来ました。ですから、俺が、俺こそがあなたのトトとして相応しい。あんな男よりも!!」

「…………」
 
エアはクラウンの言葉を聞き終えると、そっと頭を左右に振って告げる。

「いいえ、あなたはではありません。私が探していたトトは」

「……えっ」
 
クラウンにそう告げたエアは、次に俺の方へ振り返ると、まるで愛しい人を見るような目つきで優しく微笑した。
 
その姿に俺は目を見張ったと同時に、俺の中にある何かが、ずっと何かを言いたげに表に出かかっていた。

「私が探してたトトは……あなたです。ブラッド」

「っ!」
 
エアはクリエイトの隣を通り過ぎると、俺の側まで歩いて来る。

「……エア。あなたが、どうして……」
 
レーツェルは恐る恐る彼女にそう尋ねる。
 
エアはレーツェルたちの姿に気がつくと、彼女たちとの再会を喜ぶどころか、邪険な目でレーツェルたちを見つめた。

その姿にこの場に居た守護者たちは、みんな驚いて目を見張った。

「……ブラッド。私の……私だけの、愛しのトト――」
 
エアはそっと俺の頬に手を伸ばして触れてきた。