「あの方を……どうか……救って」
その言葉を最後に、ベータは一滴の涙を流すと、ゆっくりと目を閉じた。
俺は力が抜けた手をもう一度握り返し、そしてもう一度覚悟を決めてクラウンへと向き直る。
「……行くぞ! みんな!」
『はい!』
『おう!』
俺は腰からレーツェルの剣を抜き、左手に聖剣レーツェル、右手に炎剣アムールを構えて、真っ直ぐクラウンへと向かって行く。
サファイアもまた、クラウンへと手をかざし自分の背後に、数多の氷の槍を出現させる。
「くっそぉぉぉぉ、こんなところで! あんな、あんな奴にぃぃぃぃぃ!」
クラウンは右目を抑えながら立ち上がると、自分に向かって来ている俺の姿に気がついた。
そしてハッとしたように、魔剣クリエイトを握りしめ、俺に向かって切っ先を向ける。
「お前なんかに……お前ごときに、俺の願いを邪魔されてなるものかぁぁぁ!」
クラウンは自分の周りに黒い玉、黒い槍たちを出現させ、それを俺目掛けて一斉に放った。
俺は自分に向かって来る攻撃から二つの剣を使って応戦し、確実にクラウンとの距離を縮めていく。
サファイアもタイミングを見図りながら、俺に向かって来る攻撃を、氷の槍を放って跳ね返している。
「……マール。わたくしたちも……ここで見ているわけには、参りませんわね」
「で、でもセイレーン! まだ魔力が」
「平気……ですわよ。あのお方をサポート出来るくらいの力は……あります。わたくしはいずれ魚人族を背負って立つ、魚人族の姫セイレーンなのですから」
セイレーンはマールの肩を借りて立ち上がり、大きく深呼吸すると魚人族の歌を歌い始める。
「――♪」
すると俺の体に力がみなぎってきた。
「これがセイレーンの歌の力……」
残り少なかった体力が少しずつ戻ってくる。
これなら――
クラウンは俺たちの姿を見て表情を歪め、頭上にクリエイトをかざすと、大きな黒玉を作り出す。
「これで終わりだ! 死ねぇぇぇぇブラッド!!!」
クラウンによって作り出された大きな黒玉は、バチバチと赤い火花を散らせながら俺に向かって来る。
『ブラッド!』
頭の中でレーツェルの声が響く。
「大丈夫だ、レーツェル!」
俺は右目を碧眼へと変え一気に決着をつけるために右目の魔力を開放し、二つの魔剣に魔力を注ぐ。
「聖剣レーツェル、炎剣アムールよ、汝たちの願いと思い、その絆と共に我に力を貸し与えたまえ!」
詠唱によって、レーツェルの刀身に金色の炎、そしてアムールの刀身に赤紫色の炎が灯ると、それは一つの黄昏色の炎を作り出した。
そしてその時、俺の周りを七色のオーブが舞った。
「――っ!」
そこで俺はようやく初めて認識出来た。
この力を使う度に、俺に力を貸してくれていた者たちの存在に。
「……ふっ」
俺は軽く笑ってから、目の前に迫って来ていた黒玉を見上げ、同時に足を思い切り踏み込み高くジャンプした。
頭上に二つの剣を構え、思い切り振り下ろした。
「クラウン! これで終わりだ!! 黄昏の絆(トワイライト・プロメッサ)!!」
剣を振り下ろした瞬間、黄昏色の炎は鋭い斬撃へと姿を変え、鎌鼬の如くクラウンへと飛んでいく。
「なっ!!」
その光景にクラウンは目を見張り、次の瞬間クラウンの体を、俺が放った斬撃が命中した。
それはクラウンの右目をも傷つけ、体を震わせていた黒焔の目はピタリと動きを止めると、その場から黒い砂と化し消え去ってしまった。
その言葉を最後に、ベータは一滴の涙を流すと、ゆっくりと目を閉じた。
俺は力が抜けた手をもう一度握り返し、そしてもう一度覚悟を決めてクラウンへと向き直る。
「……行くぞ! みんな!」
『はい!』
『おう!』
俺は腰からレーツェルの剣を抜き、左手に聖剣レーツェル、右手に炎剣アムールを構えて、真っ直ぐクラウンへと向かって行く。
サファイアもまた、クラウンへと手をかざし自分の背後に、数多の氷の槍を出現させる。
「くっそぉぉぉぉ、こんなところで! あんな、あんな奴にぃぃぃぃぃ!」
クラウンは右目を抑えながら立ち上がると、自分に向かって来ている俺の姿に気がついた。
そしてハッとしたように、魔剣クリエイトを握りしめ、俺に向かって切っ先を向ける。
「お前なんかに……お前ごときに、俺の願いを邪魔されてなるものかぁぁぁ!」
クラウンは自分の周りに黒い玉、黒い槍たちを出現させ、それを俺目掛けて一斉に放った。
俺は自分に向かって来る攻撃から二つの剣を使って応戦し、確実にクラウンとの距離を縮めていく。
サファイアもタイミングを見図りながら、俺に向かって来る攻撃を、氷の槍を放って跳ね返している。
「……マール。わたくしたちも……ここで見ているわけには、参りませんわね」
「で、でもセイレーン! まだ魔力が」
「平気……ですわよ。あのお方をサポート出来るくらいの力は……あります。わたくしはいずれ魚人族を背負って立つ、魚人族の姫セイレーンなのですから」
セイレーンはマールの肩を借りて立ち上がり、大きく深呼吸すると魚人族の歌を歌い始める。
「――♪」
すると俺の体に力がみなぎってきた。
「これがセイレーンの歌の力……」
残り少なかった体力が少しずつ戻ってくる。
これなら――
クラウンは俺たちの姿を見て表情を歪め、頭上にクリエイトをかざすと、大きな黒玉を作り出す。
「これで終わりだ! 死ねぇぇぇぇブラッド!!!」
クラウンによって作り出された大きな黒玉は、バチバチと赤い火花を散らせながら俺に向かって来る。
『ブラッド!』
頭の中でレーツェルの声が響く。
「大丈夫だ、レーツェル!」
俺は右目を碧眼へと変え一気に決着をつけるために右目の魔力を開放し、二つの魔剣に魔力を注ぐ。
「聖剣レーツェル、炎剣アムールよ、汝たちの願いと思い、その絆と共に我に力を貸し与えたまえ!」
詠唱によって、レーツェルの刀身に金色の炎、そしてアムールの刀身に赤紫色の炎が灯ると、それは一つの黄昏色の炎を作り出した。
そしてその時、俺の周りを七色のオーブが舞った。
「――っ!」
そこで俺はようやく初めて認識出来た。
この力を使う度に、俺に力を貸してくれていた者たちの存在に。
「……ふっ」
俺は軽く笑ってから、目の前に迫って来ていた黒玉を見上げ、同時に足を思い切り踏み込み高くジャンプした。
頭上に二つの剣を構え、思い切り振り下ろした。
「クラウン! これで終わりだ!! 黄昏の絆(トワイライト・プロメッサ)!!」
剣を振り下ろした瞬間、黄昏色の炎は鋭い斬撃へと姿を変え、鎌鼬の如くクラウンへと飛んでいく。
「なっ!!」
その光景にクラウンは目を見張り、次の瞬間クラウンの体を、俺が放った斬撃が命中した。
それはクラウンの右目をも傷つけ、体を震わせていた黒焔の目はピタリと動きを止めると、その場から黒い砂と化し消え去ってしまった。