「だから僕はオフィーリアを開放してあげたかった! 魔剣を全て集めると言う任から、星の涙から、全ての事から開放してあげて、幸せになってほしかった!」

「っ! その幸せって言うのが死ぬ事だって言うのかよ?!」

「そうだよ! 死こそが全ての事から開放される手段だ! 死ねば全ての事から開放される! そう! 本当の意味での幸せがようやく手に入れられるんだ!」
 
その言葉を聞いて俺は目を見張ったと同時に、左拳に力を込めてから、思い切りアルバの事を殴り飛ばした。

「そんなわけねぇだろ!!!」
 
俺の拳はアルバの頬へと直撃した。そしてアルバの体は後ろへと飛んでいった。

「かはっ!」
 
背中を思い切り打ち付けたアルバは、左肩を抑えながらヨロヨロと立ち上がった。

「……ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!! 死ぬことで全ての事から開放されるだって?! じゃあオフィーリアの気持ちがそれで報われるって言うのかよ!!」

「っ!」
 
アルバは軽く目を見張った。そして俺の姿をじっと見つめてくる。

「お前はオフィーリアの兄貴だろ!! 大切な家族だろ! 兄貴だったら、家族だったら大切な妹の気持ちぐらい守ってやれよ!! オフィーリアが死ぬ事を望んでいたのか? オフィーリアが開放されて自由になりたいって言ったのかよ?! いいや、オフィーリアはそんなこと望んだり一言も言っていないはずだ!!」
 
俺はオフィーリアと共に過ごした日々の事を思い出した。

そしてオフィーリアの笑顔を浮かべた姿が脳裏を過ぎった時、俺の頬を一滴の涙が伝った。

「あいつは辛い運命を背負いながらも、必死に抗っていた! 誰よりも強く生きたいと願いっていた! そしてレーツェルを含める守護者たち全員が早く集まる事を、オフィーリアは誰よりも強く願っていた!」

「……オフィーリア」

「お前がやった事はオフィーリアを事を思ってしたことなのかもしれないけど、お前がやった事はただの自己満足であって、決してオフィーリアの幸せを願った物じゃない! ただ自分が苦しみから開放されるために、オフィーリアを利用しただけじゃないかよ!!」