「この世界のトトを探してほしいなんて言うエアの身勝手な願いによって、どれだけの人がそのためだけに命を犠牲にしたと思うんだ! なぜエアだけが負えば良いはずの代償を、僕たちエアの末裔たちまでもが背負わなければならない! そんなのおかしいじゃないか!!」
 
アルバはそう叫ぶように言いながら、短剣を構えて俺に向かってくる。

「ブラッド!」
 
サファイアが俺の事を心配しながら名前を呼ぶ声が耳に届く。

しかし今の俺にはサファイアの呼ぶ声に返事を返す事が出来なかった。
 
何故なら俺はアルバが言った言葉を聞いて、前に自分が言った言葉を思い出していたからだ。

「だってそんなのエアとトートが勝手に考えて、勝手に世界を作り変えたんだろ?! なのにどうして、エアの代償をエアの末裔までもが引き継がないといけないんだ!」
 
あの時の俺は何も知らないであんな言葉を口走った。

「はああああ!!」
 
アルバは素早い剣撃を俺に浴びせてくる。

俺は何とかその剣撃を避けながら自分も攻撃を仕掛けていく。

「エアのせいで僕の母さんは死んだ! いや、星の涙によって僕の家族は幸せを奪われた! 当然僕だけじゃない! 星の涙によってどれだけの人が不幸にされたと思う?! オフィーリアだってその内の一人だ!」
 
アルバの一撃一撃は凄く重みのある物だった。

そしてその一つ一つの一撃から、俺はアルバの思いが込められている気がした。

「オフィーリアは生まれた瞬間から重く辛い運命を背負った! そしてあの日、クラウンが星の涙を狙って僕たちの村を襲撃して来た時、僕たちはオフィーリアに自分たちの願いと思いを全て託して逃した! でもそのせいで、どれだけ深くオフィーリアの事を傷つけてしまったことか……」

「っ……」
 
怒り、悲しみ、後悔と言った感情がアルバから伝わって来た。

そうか……アルバはアルバなりにオフィーリアの事を思って……。