「アルバ……」
 
鋭い視線を送ってくるアルバの姿を、俺もまた鋭く目を細めてその姿を捉えた。

「やあ、ブラッドさん。あなたがここに来るとは思ってもいませんでしたよ。まさか、僕が掛けた忘却(オブリヴィオン)の魔法が解けるだなんて」

「……お前にあったら言いたい事がたくさんあった。でもな、その中で特にお前に聞きたい事が一つだけある!」
 
俺はアムールに魔力を注ぎながらアルバに向かって行く。

「どうして……どうしてオフィーリアの事を裏切ったぁぁぁぁ!!!」
 
アムールの刀身とアルバの構える短剣の刀身が激しくぶつかり火花を散らせる。

そして俺の問いかけにアルバは鼻で笑うと言う。

「今更死んだ人間の事を俺に聞いてどうするって言うんだ?」

「っ! お前……!!」
 
その言葉を聞いて俺の中で殺意が芽生える。

しかし直ぐに何とかそれが表に出ないように抑えつつ言葉を続けた。

「お前が生きていたって知った時、オフィーリアは凄く嬉しかったはずだ! 自分のせいで死んでしまった家族が生きていたんだぞ!」
 
俺だって嬉しかったんだよ。

死んだと思っていたセシルが生きていてくれた事に! 

でも……結局俺はセシルを救う事が出来なかった。

「なのに……なのにお前はオフィーリアの事を裏切った! 死んでしまったエアの末裔たち全員の復活なんて言う、そんな事のためにお前はオフィーリアの気持ちを踏みにじった! 俺はそれが許せねぇ!! お前の裏切りを知って、オフィーリアがどれだけショックを受けたと思ってんだよ!」
 
そう叫びながら俺は右目に魔力を注いで、再びアルバに向かって行く。

「……そんな事のために? だと!!」
 
俺の言った事にアルバは歯を強く噛み締めた。

「お前に……お前に僕たちの何が分かるって言うんだ!!」

「っ?!」
 
その言葉を聞いて俺は足を止めてアルバの姿を瞳に映した。