「エアは最後にこう願った。【この世界のトトを探してほしい】と。だがその願いを聞いたのは、あの瞬間レーツェルだけだったはずだ」

『っ! ……確かにあの時、エアの願いを聞いたのは私だけです。そしてそれを伝えたのは、他の誰でもない次に星の涙を託した彼女――オフィーリアの祖先の【プラチナ】だけです。だからクリエイトがエアの願いを知っているはずがありません! 一体誰からその話を聞いたのですか?!』
 
レーツェルの問いかけにクリエイトは何も言うことなく、そのままクラウンの手の中に戻って行く。

そんなクリエイトの姿にサファイアは声を荒げる。

「答えろ、クリエイト!! 私はまだお前の事を仲間だと思ってる! だが……お前の返答次第によっては、私はお前を止める!!」
 
サファイアはそう言うとクラウンへと左手をかざす。

そんな彼女の姿を見たクラウンは軽い笑みを浮かべた。

「残念だったね、サファイア。君でもクリエイト説得は無理みたいだったね」
 
クラウンは右目に魔力を注ぐと魔力をどんどん高めていく。

「ちっ! あいつさっきよりもまた魔力が上がってやがる!」
 
クラウンの右目は不気味な紫色の炎をまとっている。

そしてその炎はクリエイトの刀身へと流されて行き、銀色だった刀身の色は紫色へと変色を遂げた。

「……クリエイト!」
 
サファイアはボソッとクリエイトの名前を呟くと、かざしていた左手を無造作に動かしながら魔法を発動させる。

「氷の精霊よ、大気の精霊よ、その力をもって数多の欠片を生成せよ」
 
サファイアの詠唱によって、彼女の周りに数多の細長い氷の粒が姿を現す。

「凄い……これだけの数の氷の塊を出現させるだなんて」

『これが生まれながらに氷結の力を持って生まれたサファイアの力だ。しかしこれはまだサファイアの本気の力じゃない。本気になったあいつだったら、その気になればこの世界を氷で覆い尽くす事だって出来る』

「そ、そりゃあすげぇな……」
 
そんな話を聞かされたら絶対敵に回したくないと思ったが、逆に味方だと凄く心強いと思った。