ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「……そんなトトに……俺がなれるわけねぇよ」
 
きっと誰にもトトになる事は出来ない。

俺だって、クラウンだって、それ以外の人だってきっと誰もトトになる事は出来ないんだ。
 
エアに比べればトトの方が俺にとっては偉大な存在に思える。

エアと同じくして生まれたトトは、自分には特別な力なんて持っていないと言っていたみたいだけど、あんただってあんたにしかない力を持っていたじゃないか。

その力を使ってあんたは自分の守るべき物のために、全力でその力を振るった。

自分の為になんて一切思わないで、自分よりも他の人たちの事を優先してこの世界を作ってくれたトトは、他の誰よりも立派で大きな人だと俺はそう思うよ。

『でも今はもう七大精霊たちも、この世界が作られたと同時に姿を隠してしまっている。おそらく自分たちの力を悪用されないように、トトにそう言われた可能性が高いが、正直レムとシェイドの力なくしてあいつを退けることは難しいぞ』

「……そうだよな。トトだって死ぬ覚悟を決めてまで、あいつを退けたんだ。じゃあだったら俺もこの命を掛けてでも、あいつをこの世界から消し去る覚悟を見せないとだめだよなぁ!」
 
そう力強く言い放った俺は、右目に魔力を注ぎアムールにもありったけの魔力を注ぐ。

『ブラッド?! 一体何をする気だ?』

「トトが死ぬ気で戦ってあいつの事を退けたって言うなら、俺も死ぬ気であいつに掛かって行かないと勝てないってことだ。だから最初から手は一切抜かない!」
 
最初から手を抜いて戦ったりなんてしたら、それこそ一瞬で殺されるかもしれない。

だから俺はあいつに一瞬の隙きも見せないし、手を抜いて行くつもりなんてない。

「最初から全力で行く!」

魔剣アムールに魔力が溜まりきり、俺は思い切り足を踏み込んで黒焔の目に向かって行く。

「炎と焔の精霊よ、愛情の精霊よ、その力と思いを我が魔剣アムールに捧げよ!」
 
黒焔の目もまた、俺の周りに集まってきている精霊たちの存在を感じ取ったのか、目玉をギョロギョロと大きく動かすと、視線の先を俺へと定める。

「きゃは……きゃははははは」
 
その気持ち悪い笑い方に俺は顔を引きつらせた。

「なんつ〜気持ち悪い笑い方すんだよ。……だが」
 
そんなの今気にしてる暇なんてないな。

そう思いながらアムールの刀身が赤紫色の炎が宿り、俺はアムールを大きく右から左にかけて振り払う。

愛の絆(アモールプロメッサ)!!」
 
斬撃と化した赤紫色の炎は、無数の数の斬撃へと姿を変えると黒焔の目に向かって飛んでいく。