ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

契約を交わした精霊たちは、自分たちの主のためにその力を全力で振るうと言われている。

姿こそその目で確認する事は難しいけど、契約を交わした精霊たちは必ず主の側から離れることはない。

どんな時でも直ぐに主の力になれるようにするためにだ。
 
特にその中でも精霊たちの頂点に君臨している七大精霊たちは、どの精霊たちよりも主のために常に側に居る事を望み、主のために全力でその力を振るうと言われている。

七大精霊たち全員と契約を交わすなら、それなりの魔力を持っていないと駄目だ。
 
七大精霊は一人契約するだけでも難しいと言われていて、素人がその精霊と契約を交わそうものなら、直ぐにぶっ倒れて病院送りにされるか、最悪契約を交わしたと同時に魔力を全部失って死ぬ可能性が高い。
 
だからその七人全てを従えていたトトには正直驚いた。

それも生まれた時から契約を交わしていたって……マジカヨ。

「じゃあトトはその七大精霊たちの力を使って黒焔の目を退けたのか?」

『ああ、そうだ。あいつは七大精霊の力を使って、黒焔の目を退けた。……でもあいつは、そのせいで死にかけた』

「えっ?」
 
七大精霊の力を使って死にかけた? 

だってトトは七大精霊たちと契約を交わして従わせていたんだろ? 

だったら簡単にその力を使えただろうに。

『七大精霊たちの力は確かに強かった。その中でも特に光と闇の大精霊たち二人の力は、七大精霊たちの中でも特にずば抜けていた』

「……その精霊たちの名前は?」

『光の大精霊の名は【レム】。闇の大精霊の名は【シェイド】だ』

「レムとシェイドか……」
 
確かに名前からして凄く強そうな気がする。

しかしトトはなぜその二人の力を使っただけで死にそうになったんだ?

『レムとシェイドの力は諸刃の剣だとあいつは言っていた。二人の力を使えば使った分だけの
事が自分に返ってくる。だからあいつは自分の命を捨てようとしてまで、レムとシェイドの力を使ってあの黒焔の目を退けた。しかしそのせいでトトは大きな傷を体に背負うことになった。体中に光と闇が混じったような痣が浮かび上がり、それはトトが七大精霊たちの力を使う度に広がっていって、俺が死ぬ頃にはもう首下辺りまで痣は広がっていた』

「っ!」
 
それが大きな力を扱った事による代償……。

それにトトはその代償を背負いながらも、世界の魔法を使ってこの世界を作ってくれた。

対価として心と目を払ってまでそうしたかったのは、みんなが望んだ誰もが平等で幸せになれる世界を作りたかったから。