俺はアムールの切っ先を向けて、左目から包帯を取り魔力を注ぐ。

「クラウン!!! お前だけは……お前の存在だけはこの世に残すわけには行かねぇ!!」
 
こいつだけは……こいつだけは絶対に許さねぇ!!
 
俺はアムールを構えて思い切り足を踏み込み一気に距離を縮める。

そして思い切りアムールを振りかぶり、力強く振り下ろす。
 
クラウンもまた腰から魔剣クリエイトを抜くと迎え撃つ。

「お前は必ず俺が殺してやる!! この手でなぁ!!!」

「やれるものならやってみろ!!」
 
お互いの魔剣の刀身が激しくぶつかり合い火花を散らしていく。

「言え!! 俺の大切な妹に何しやがった!!」

「……ふっ」
 
クラウンは俺の言葉に嫌な笑みを浮かべると、後ろに大きくジャンプして俺から距離を取った。
 
そして手の中に星の涙の欠片の存在を出し、それを俺たちに見えるように掲げた。

「君の妹にはオフィーリアの代わりにこの世界のエアとして、俺をこの世界のトトに選んでもらうつもりだった。だから俺はオフィーリアの母親の体を使って、星の涙の魔力を抱えられる体を作り出し、その体にセシルの魂を移植させた」

「っ!」 
 
その話を聞いて更に殺気が増した。

「本当にお前は……人の命を何だと思ってんだよ!!」

「何って? 俺にとって人の命は全てとっておきの実験材料だよ。それ以外に一体何があるって言うのかな?」

「くっ! このクズが!!!」
 
クラウンに手をかざした俺詠唱を始める。

「炎の精霊よ、焔の精霊よ、汝たちの力を一つにし、目の前の者を穿て、焔の槍(フレイムランス)!!」
 
背後に無数の焔の槍が姿を現すと、それはクラウン目掛けて飛んでいく。

そしてクラウンに直撃しようとした直前に、焔の槍たちは姿を現した黒い玉によって全て飲み込まれてしまった。

「なっ!」
 
黒い玉は俺が放った魔法を全てくらい尽くすと、軽くげっぷをしてから閉じていた目を開けて目をギョロギョロと動かした。