ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「うっ!」
 
な、何だ……この魔力は?!
 
ベータも何かを感じ取ったのか、びっくりしたように目を見張っている。

『この魔力の反応……!』
 
頭の中でアルの声が響く。

しかしその声音はどこか少し焦っているようにも感じ取れた。

それにアル以外にもレーツェルとサファイアも言葉を失ったように、ただ唖然としている様子だった。

「アル! 俺たちはこの魔力の正体を知っているのか?」

『……ああ、知ってる』
 
その言葉に俺は軽く目を見張った。
 
アルたちが知っている魔力の正体……。

この魔力はクラウンが放つ禍々しい魔力よりも、一層禍々しさが増した濃い物だ。

それをアルたちが知っているってことは……。

『間違いありません。これは黒焔の太陽の魔力です!』

「なっ!」
 
黒焔の太陽の魔力だって?! 

だってそれはトトがあっちの世界で封じ込めているんじゃないのか?! 

それだと言うのに、なぜそれがこっちの世界にやって来たんだ?!

『一体この下で何が起こっていると言うんだ……?』
 
サファイアの言葉に俺は眉を寄せた。
 
あいつの狙いは自分がこの世界のトトになる事だったはずだ。

だからあいつにとって今必要な物は、星の涙の欠片とシエルの存在だけのはず。
 
まさかあいつはこの世界のトトになる事以外にも、他に何か目的があるのか?

「……急がないと!」
 
ベータは頬に一滴の汗を流すと、覚悟を決めて中に向かって走り出した。

「お、おい! ベータ!」
 
そんなベータの後を俺も追いかける。

『アル。もし本当にこの先に黒焔の太陽が居るとするなら、私たちだけで対処出来る物ではないぞ』

『……ああ、分かってる。あいつはトトが戦っても倒せなかった存在だ。それにあいつはトトに何年も眠らされていた影響で空腹のはずだ。だから星の涙の存在を知ったら、必ずその存在ごと食らおうとする。……最悪、きっとあいつは俺たちの存在にも気づいて、全てを食らい尽くす』
 
頭の中でサファイアとアルの物騒な話を半分聞きながら、俺はサファイアに声を掛ける。

「サファイア。お前は一旦俺たちから離れて、クラウンに気づかれないように様子を伺っていてくれ」

『……何か考えがあるのか?』

「クラウンは俺がサファイアと一緒に居る事を知らない。だからあいつの隙きをつけると思うんだ。それでお前は氷結の力を使って、黒焔の太陽の動きを止めてくれ」

『それは構わないが、氷結の力を使ってあいつの動きを止めたとしても、あいつは直ぐに氷結の魔力を食らって自分の力の一部にしてしまう。それでは逆にあいつに力を与えるだけになってしまうぞ』

「構わない」
 
その言葉にサファイアたちは驚いた反応を見せる。