主を守る宝石と呼ばれる物が、どうして俺みたいな奴の元に置かれていったのか……。

守護石なんかなくても、自分の身くらい自分で守れると言うのに。
 
そう思いながらクローゼットの中から、お気に入りの一着を選び始める。
 
今日はレオンハルトが屋敷に来るようになっている。

どうやら俺に話があるようで、昨日ミリィ伝いにそう聞いた。
 
着替えを終えた俺は机の引き出しから眼帯を取り出し、それを右目に付けて部屋を後にしたのだった。
 
――この後、俺は後悔することになる。

どうしてあの世界で背を向ける彼女に手を伸ばさなかったのか、どうしてもっと早く彼女の存在に気づけなかったのかと……。
 
そして本当の悲劇は、全てここから始まるんだ。