するとさっき姿を消したはずのクラウンが、わたくしの目の前へと姿を現した。
そしてそんな彼の周りを、小さな黒焔の目が飛び交っている。
その光景にわたくしはギロリと目を細めて、クラウンたちの存在を睨みあげた。
「まさか……最初からわたくしの魔力が狙いだったのですか?」
「ああ、そうだよ。この子を大きくさせるには、魔剣の主の魔力も丁度ほしいと思っていたところなんだよ」
「大きくさせるって……じゃあ、今あなたの後ろに居るあれは、それの本体ではないんですの?」
わたくしの言葉にクラウンは後ろを振り返ると、白目を向いている黒焔の目をじっと見つめる。
そして直ぐに軽い笑みを浮かべると、黒焔の目へと手をかざした。
「そうだね。これは……俺が頂くんだよ」
「……は?」
その言葉と同時にクラウンの背後でゆらゆらと揺れていた黒い手たちは、黒焔の目へと伸びて行くと力強く掴んで、バラバラに引きちぎっていく。
「なっ……!」
ブチブチ、バチバチと嫌な不快音が辺りに響き渡り、その光景をわたくしを含めるこの場に居た全員が、青い顔を浮かべて見つめていた。
「これは俺の力にするために敢えて呼んだものだよ。そして黒焔の目の本体はこっち」
そう言ってクラウンは、自分の周りを飛んでいる黒焔の目を乱暴にひっ捕まえると、それをわたくしの目の前へと掲げて見せる。。
「どうやら今は機嫌が良いみたいだね。君の魔力が思ったよりも美味しかったようだ」
「……あまり嬉しくない事ですわね」
わたくしはマールに戻るように合図を送り、頷いたマールは魔剣へ姿を戻すとわたくしの手の中に戻る。
「そんな体でまだ俺と戦うのかな? もうやめておいた方が良いと思うけどね」
「……っ」
わたくしは体に力を入れて立ち上がり刀身の切っ先をクラウンへと向ける。
しかしクラウンへと向けた切っ先は、行き先を見失ったようにカタカタと揺れ動いていた。
「くっ……」
体が酷く震えていた。
そのせいで切っ先の行き先が定まらない。
「プライドの高い君は認めたくない事だろうけど。……君、今怖がってるよね?」
「っ!」
その言葉に心臓が大きく跳ね上がった。
「黒焔の目に雫を掴まれた時、どんな気持ちになった? 死にたくないって思ったのかな?」
「そ、れは……」
確かに自分の雫を掴まれた時、わたくしは死の恐怖に襲われた。
そして同時にわたくしはではこの黒焔の目には勝てないと悟ってしまった。
戦いの中で一度でも死の恐怖に襲われてしまったら、そこから抜け出すのには時間が掛かってしまいます。
ですからわたくしは……。
「ふっ……まあ良いさ」
クラウンはそう言うと私のお腹に思い切り拳を打ち込んだ。
「がはっ!」
そしてそんな彼の周りを、小さな黒焔の目が飛び交っている。
その光景にわたくしはギロリと目を細めて、クラウンたちの存在を睨みあげた。
「まさか……最初からわたくしの魔力が狙いだったのですか?」
「ああ、そうだよ。この子を大きくさせるには、魔剣の主の魔力も丁度ほしいと思っていたところなんだよ」
「大きくさせるって……じゃあ、今あなたの後ろに居るあれは、それの本体ではないんですの?」
わたくしの言葉にクラウンは後ろを振り返ると、白目を向いている黒焔の目をじっと見つめる。
そして直ぐに軽い笑みを浮かべると、黒焔の目へと手をかざした。
「そうだね。これは……俺が頂くんだよ」
「……は?」
その言葉と同時にクラウンの背後でゆらゆらと揺れていた黒い手たちは、黒焔の目へと伸びて行くと力強く掴んで、バラバラに引きちぎっていく。
「なっ……!」
ブチブチ、バチバチと嫌な不快音が辺りに響き渡り、その光景をわたくしを含めるこの場に居た全員が、青い顔を浮かべて見つめていた。
「これは俺の力にするために敢えて呼んだものだよ。そして黒焔の目の本体はこっち」
そう言ってクラウンは、自分の周りを飛んでいる黒焔の目を乱暴にひっ捕まえると、それをわたくしの目の前へと掲げて見せる。。
「どうやら今は機嫌が良いみたいだね。君の魔力が思ったよりも美味しかったようだ」
「……あまり嬉しくない事ですわね」
わたくしはマールに戻るように合図を送り、頷いたマールは魔剣へ姿を戻すとわたくしの手の中に戻る。
「そんな体でまだ俺と戦うのかな? もうやめておいた方が良いと思うけどね」
「……っ」
わたくしは体に力を入れて立ち上がり刀身の切っ先をクラウンへと向ける。
しかしクラウンへと向けた切っ先は、行き先を見失ったようにカタカタと揺れ動いていた。
「くっ……」
体が酷く震えていた。
そのせいで切っ先の行き先が定まらない。
「プライドの高い君は認めたくない事だろうけど。……君、今怖がってるよね?」
「っ!」
その言葉に心臓が大きく跳ね上がった。
「黒焔の目に雫を掴まれた時、どんな気持ちになった? 死にたくないって思ったのかな?」
「そ、れは……」
確かに自分の雫を掴まれた時、わたくしは死の恐怖に襲われた。
そして同時にわたくしはではこの黒焔の目には勝てないと悟ってしまった。
戦いの中で一度でも死の恐怖に襲われてしまったら、そこから抜け出すのには時間が掛かってしまいます。
ですからわたくしは……。
「ふっ……まあ良いさ」
クラウンはそう言うと私のお腹に思い切り拳を打ち込んだ。
「がはっ!」



