「だからシエル。アルファだけは見逃してあげるから、とっとと俺をこの世界のトトにしてくれないかな?」
「……っ」
セシルは倒れている僕へと目を移動させる。
そんな彼女と目が合った時、僕は目を細めて【やめろ】と伝える。
そんな僕の姿に彼女は軽く目を見張ると、少し間を置いてから僕に笑顔を向けた。
「っ!」
まさかと思った僕は何とかして自分の声を届けようとした。
しかし声を出そうにも体に力が入らない事によって、声を出すこともすらもままならなかった。
そんな自分自身に腹がたった僕は歯を噛み締めた。
やめろ……!
やめるんだ、セシル!
僕なんかのために自分の事を犠牲にするな!
そう言葉にしたいのにする事が出来ず僕は悔しくて目に涙を浮かべた。
「僕は……なんて無力なんだ……!」
泣き顔なんて晒したくないのに体に力が入らない事によって、自分の顔すら手で隠す事が出来ない。
まさに……滑稽だな。
「……なあ……アルファ……聞こえるかぁ?」
すると直ぐ近くでガンマの声が聞こえた。
しかし振り向く事が出来ずその姿を確認する事が出来ない。
でもガンマはそんな僕にお構いなしに言葉を続ける。
「諦める……のは……ちと早いぜぇ」
「……?」
ガンマ?
一体何を言っているんだ?
諦めるのは早いだって?
でも僕たちはもう立ち上がる事が出来ないんだぞ?
セシルを助け出す事が出来ないじゃないか。
そうだと言うのに、諦めるのは早いっていったい?
「さあ、シエル。たった一言言えば良いんだよ?」
顔を伏せていたセシルは覚悟を決めたのか、ゆっくりと口を開く。
「……私は……あなた……こそが――」
その時、何処からかクラウン様目掛けて水魔法が放たれた。
「――っ!」
その魔力に少し遅れてクラウン様の右目が反応すると、クラウン様はそこから左へと大きくジャンプした。
『あ〜あ。外れちゃったよ』
「大丈夫ですわよ、マール。想定内ですから」
聞き覚えるある声が少し遠くから聞こえた時、こちらへと歩いて来る靴の音が聞こえてくる。
「それにしても少し出るのが遅かったようですわね」
『仕方ないよ。ガンマにそう言われてたんだから』
そんな二人の会話が聞こえた時、今度はガンマの声が耳に届く。
「案外……遅かったじゃねぇのかぁ?」
「あら、そんなことありませんわよ。それにこの機会を狙えって言ったのは、あなたじゃありませんこと?」
「……ああ、そういや……言ったな……」
……いったいどういう事なんだ?
ガンマと話している声の主、こんな独特な喋り方をする人物を僕は一人しか知らない。
「そんじゃ……後は……任せたぜ。セイレーンよ」
セイレーンとガンマに名前を呼ばれた彼女は、魔剣マールを構えるとその切っ先をクラウン様へと向ける。
「そうですわね。それでは始めましょうか」
そんなセイレーンの姿にセシルは目を見張り、クラウン様は苛ついたように鋭く彼女を睨み付けていた。
「……っ」
セシルは倒れている僕へと目を移動させる。
そんな彼女と目が合った時、僕は目を細めて【やめろ】と伝える。
そんな僕の姿に彼女は軽く目を見張ると、少し間を置いてから僕に笑顔を向けた。
「っ!」
まさかと思った僕は何とかして自分の声を届けようとした。
しかし声を出そうにも体に力が入らない事によって、声を出すこともすらもままならなかった。
そんな自分自身に腹がたった僕は歯を噛み締めた。
やめろ……!
やめるんだ、セシル!
僕なんかのために自分の事を犠牲にするな!
そう言葉にしたいのにする事が出来ず僕は悔しくて目に涙を浮かべた。
「僕は……なんて無力なんだ……!」
泣き顔なんて晒したくないのに体に力が入らない事によって、自分の顔すら手で隠す事が出来ない。
まさに……滑稽だな。
「……なあ……アルファ……聞こえるかぁ?」
すると直ぐ近くでガンマの声が聞こえた。
しかし振り向く事が出来ずその姿を確認する事が出来ない。
でもガンマはそんな僕にお構いなしに言葉を続ける。
「諦める……のは……ちと早いぜぇ」
「……?」
ガンマ?
一体何を言っているんだ?
諦めるのは早いだって?
でも僕たちはもう立ち上がる事が出来ないんだぞ?
セシルを助け出す事が出来ないじゃないか。
そうだと言うのに、諦めるのは早いっていったい?
「さあ、シエル。たった一言言えば良いんだよ?」
顔を伏せていたセシルは覚悟を決めたのか、ゆっくりと口を開く。
「……私は……あなた……こそが――」
その時、何処からかクラウン様目掛けて水魔法が放たれた。
「――っ!」
その魔力に少し遅れてクラウン様の右目が反応すると、クラウン様はそこから左へと大きくジャンプした。
『あ〜あ。外れちゃったよ』
「大丈夫ですわよ、マール。想定内ですから」
聞き覚えるある声が少し遠くから聞こえた時、こちらへと歩いて来る靴の音が聞こえてくる。
「それにしても少し出るのが遅かったようですわね」
『仕方ないよ。ガンマにそう言われてたんだから』
そんな二人の会話が聞こえた時、今度はガンマの声が耳に届く。
「案外……遅かったじゃねぇのかぁ?」
「あら、そんなことありませんわよ。それにこの機会を狙えって言ったのは、あなたじゃありませんこと?」
「……ああ、そういや……言ったな……」
……いったいどういう事なんだ?
ガンマと話している声の主、こんな独特な喋り方をする人物を僕は一人しか知らない。
「そんじゃ……後は……任せたぜ。セイレーンよ」
セイレーンとガンマに名前を呼ばれた彼女は、魔剣マールを構えるとその切っ先をクラウン様へと向ける。
「そうですわね。それでは始めましょうか」
そんなセイレーンの姿にセシルは目を見張り、クラウン様は苛ついたように鋭く彼女を睨み付けていた。



