「……やっかいな」
その隙きにクラウン様との距離を縮めたガンマが、剣を振りかぶると思い切り刀身を振り下ろした。
「……ふっ」
しかしクラウン様は右目に魔力を注ぐとその瞳でガンマの姿を捉え、彼の動きを封じた。
「か、体が……動かねぇ……だと!?」
ガンマが振り下ろした刀身はクラウン様の頭上で止められた。
ガンマは柄を握る手に力を込めて、今直ぐでも届きそうな刀身を何とかして振り切ろうとする。
しかしクラウン様がガンマの動きを完全に封じ込めているせいで、刀身はその先から進む事も下がる事もなかった。
「そんなに力を込めたところで、その刀身が俺に届くことはない。いくら君ご自慢の怪力を使ったところで、俺が君の動きを封じ込めている限り無意味だよ」
「……そうかぃ。でもなあ……クラウン様よぉ。こんな間近で俺の姿があるんじゃ、自分の目で見える範囲なんて狭いんじゃないのか?」
「なんだと?」
ガンマのその言葉に僕はニヤリと笑う。
そして左手の中に闇の剣を作り出してから、ガンマの横を通ってクラウン様との距離を縮めた。
「――っ!」
さすがのクラウン様も僕の姿が見えていなかったのか、突然姿を現した僕の姿に驚いて目を見張った。
「クラウン様! これで終わりですよ!」
僕は柄を握る手に力を込めて、クラウン様の左胸目掛けて切っ先を突き出した。
しかし――
「まったく……がっかりだよ」
「っ!」
闇の剣の切っ先があと少しで届くところで、クラウン様の背後で揺らめいていた黒い手たちが、その形を鋭い槍へと変形させると、それは僕の体ごとガンマの体を貫いた。
「がはっ……!」
お腹に大きな風穴が空き口の端から血が滴り落ちる。
手の中から闇の剣が溢れ落ちるとそれは鈍い音を立てて地面に落下し、黒い砂と化して消えてしまった。
その音に気がついたのかセシルは閉じていた目をゆっくりと開くと、緑色の瞳に僕たちの姿を映した。
「………えっ」
僕たちのお腹に風穴を作った黒い手は、そのままクラウン様の元へ戻ると赤い血を滴らせる。
そして僕たちの体はそのまま後ろに倒れ込んだ。
「あ……アルファ………ガンマ……!?!」
セシルは青い顔を浮かべると頭を左右に振ってから涙を流して叫ぶ。
「いやああああ!!! アルファ!!! ガンマ!!!」
そしてセシルは自分の体の様子に気がつくと、更に青い顔を浮かべる。
「な、なに……これ! ……いや……いやああ!!」
彼女は体を捻らせながら黒い手たちの拘束を解こうとする。
その隙きにクラウン様との距離を縮めたガンマが、剣を振りかぶると思い切り刀身を振り下ろした。
「……ふっ」
しかしクラウン様は右目に魔力を注ぐとその瞳でガンマの姿を捉え、彼の動きを封じた。
「か、体が……動かねぇ……だと!?」
ガンマが振り下ろした刀身はクラウン様の頭上で止められた。
ガンマは柄を握る手に力を込めて、今直ぐでも届きそうな刀身を何とかして振り切ろうとする。
しかしクラウン様がガンマの動きを完全に封じ込めているせいで、刀身はその先から進む事も下がる事もなかった。
「そんなに力を込めたところで、その刀身が俺に届くことはない。いくら君ご自慢の怪力を使ったところで、俺が君の動きを封じ込めている限り無意味だよ」
「……そうかぃ。でもなあ……クラウン様よぉ。こんな間近で俺の姿があるんじゃ、自分の目で見える範囲なんて狭いんじゃないのか?」
「なんだと?」
ガンマのその言葉に僕はニヤリと笑う。
そして左手の中に闇の剣を作り出してから、ガンマの横を通ってクラウン様との距離を縮めた。
「――っ!」
さすがのクラウン様も僕の姿が見えていなかったのか、突然姿を現した僕の姿に驚いて目を見張った。
「クラウン様! これで終わりですよ!」
僕は柄を握る手に力を込めて、クラウン様の左胸目掛けて切っ先を突き出した。
しかし――
「まったく……がっかりだよ」
「っ!」
闇の剣の切っ先があと少しで届くところで、クラウン様の背後で揺らめいていた黒い手たちが、その形を鋭い槍へと変形させると、それは僕の体ごとガンマの体を貫いた。
「がはっ……!」
お腹に大きな風穴が空き口の端から血が滴り落ちる。
手の中から闇の剣が溢れ落ちるとそれは鈍い音を立てて地面に落下し、黒い砂と化して消えてしまった。
その音に気がついたのかセシルは閉じていた目をゆっくりと開くと、緑色の瞳に僕たちの姿を映した。
「………えっ」
僕たちのお腹に風穴を作った黒い手は、そのままクラウン様の元へ戻ると赤い血を滴らせる。
そして僕たちの体はそのまま後ろに倒れ込んだ。
「あ……アルファ………ガンマ……!?!」
セシルは青い顔を浮かべると頭を左右に振ってから涙を流して叫ぶ。
「いやああああ!!! アルファ!!! ガンマ!!!」
そしてセシルは自分の体の様子に気がつくと、更に青い顔を浮かべる。
「な、なに……これ! ……いや……いやああ!!」
彼女は体を捻らせながら黒い手たちの拘束を解こうとする。



