「俺が彼女に与えたそれは、【生命の翼】と呼ばれるものだ」
「……生命の翼?」
「君も見て知ったと思うけどそれは翼じゃない。俺が彼女のために作ってあげた【シエルのもう一つの雫】だよ」
「なっ……!」
じゃあセシルは二つの雫を持っているって事になるのか?!
いや、正確には二つ目の雫をクラウン様から与えられた。
だから彼女の魔力は高かったんだ。
それは雫が二つあった事が原因で、彼女が自分の魔力をコントロールする事が出来なかった理由だ。
これだけの数の羽が全て雫だと言うのなら、雫に抱えられた魔力を消費するのには苦労するはずだ。
でも彼女が魔力の事で悩んだり、苦しんだりしている姿は一度も見たことがない。
クラウン様は一体どうやって、羽の雫に抱えられた魔力を消費させていたって言うんだ?
「その翼の雫はね。君や俺が殺したエアの末裔たちの雫を使って作った物なんだよ」
「っ!」
その言葉にセシルは反応して大きく両肩を上がらせた。
「生命の翼はシエルの体の中にある雫と、見えない糸で繋がらせてある。シエルの雫だけじゃ全ての魔力を抱える事は出来ないからね」
そこで僕はセシルが常に翼を使って空を飛んでいた事を思い出した。
そして僕の中でとある考えが浮かんだ。
「……つまりこういう事ですか? あなたは殺したエアの末裔たちから奪った雫を使って、生命の翼と言う【魔力を放出させる雫】を作ったってことですか?」
僕の言葉にクラウンは嬉しそうに、そしてとても嫌らしい笑みを浮かべた。
「ふっ……ふは……はははは。本当に君は頭の回転が早いね。それは君が三人の中で誰よりも俺の研究を手伝っていたって事もあるからなのかな?」
「……さあ、どうでしょうね」
クラウン様の言葉を無視しながら、僕は言葉を続けていく。
「まずあなたはオフィーリアさんの母親であるシルヴィアさんの体に、何らかの方法を使ってセシルの魂を固定させた。そしてその後は星の涙に耐えられるくらいの体を作るために、彼女にありとあらゆる実験を施した。その後は彼女の体に、僕たちが殺したエアの末裔たち全員分の魔力がこもった雫を与えた。しかしあなたは判断がつかなかったはずだ」
僕の話を聞いている彼女の体は徐々に震え始めていた。
そして目尻に涙を浮かべるとギュッと目を瞑った。
そんなセシルを見るのが辛かった僕だけど、これは彼女も知っておくべき事だと思っていた。
だから僕は言葉を続ける。
「いくら星の涙に耐えられる体が出来上がったとしても、彼女が雫に収められた膨大な魔力をコントロールする事が出来るか分からなかった。最悪の場合、ブラッドさんの様に雫から漏れ出た魔力が体の中で暴走して、死んでしまうかもしれなかった。だからあなたは魔力を放出させる生命の翼を彼女に与えた。生命の翼とセシルの体の中にある雫を魔力の糸で繋げる事で、魔力は空っぽの雫へと流れ込んで行く。そうすることで彼女の雫に抱えられた膨大な魔力は、暴走する事なく上手く放出されて行く。そして羽へと流れこんだ魔力が放出される時って言うのが、彼女が翼を使って空を飛んでいた時だ」
「……っ!」
その言葉に彼女は目を見張った。
「……生命の翼?」
「君も見て知ったと思うけどそれは翼じゃない。俺が彼女のために作ってあげた【シエルのもう一つの雫】だよ」
「なっ……!」
じゃあセシルは二つの雫を持っているって事になるのか?!
いや、正確には二つ目の雫をクラウン様から与えられた。
だから彼女の魔力は高かったんだ。
それは雫が二つあった事が原因で、彼女が自分の魔力をコントロールする事が出来なかった理由だ。
これだけの数の羽が全て雫だと言うのなら、雫に抱えられた魔力を消費するのには苦労するはずだ。
でも彼女が魔力の事で悩んだり、苦しんだりしている姿は一度も見たことがない。
クラウン様は一体どうやって、羽の雫に抱えられた魔力を消費させていたって言うんだ?
「その翼の雫はね。君や俺が殺したエアの末裔たちの雫を使って作った物なんだよ」
「っ!」
その言葉にセシルは反応して大きく両肩を上がらせた。
「生命の翼はシエルの体の中にある雫と、見えない糸で繋がらせてある。シエルの雫だけじゃ全ての魔力を抱える事は出来ないからね」
そこで僕はセシルが常に翼を使って空を飛んでいた事を思い出した。
そして僕の中でとある考えが浮かんだ。
「……つまりこういう事ですか? あなたは殺したエアの末裔たちから奪った雫を使って、生命の翼と言う【魔力を放出させる雫】を作ったってことですか?」
僕の言葉にクラウンは嬉しそうに、そしてとても嫌らしい笑みを浮かべた。
「ふっ……ふは……はははは。本当に君は頭の回転が早いね。それは君が三人の中で誰よりも俺の研究を手伝っていたって事もあるからなのかな?」
「……さあ、どうでしょうね」
クラウン様の言葉を無視しながら、僕は言葉を続けていく。
「まずあなたはオフィーリアさんの母親であるシルヴィアさんの体に、何らかの方法を使ってセシルの魂を固定させた。そしてその後は星の涙に耐えられるくらいの体を作るために、彼女にありとあらゆる実験を施した。その後は彼女の体に、僕たちが殺したエアの末裔たち全員分の魔力がこもった雫を与えた。しかしあなたは判断がつかなかったはずだ」
僕の話を聞いている彼女の体は徐々に震え始めていた。
そして目尻に涙を浮かべるとギュッと目を瞑った。
そんなセシルを見るのが辛かった僕だけど、これは彼女も知っておくべき事だと思っていた。
だから僕は言葉を続ける。
「いくら星の涙に耐えられる体が出来上がったとしても、彼女が雫に収められた膨大な魔力をコントロールする事が出来るか分からなかった。最悪の場合、ブラッドさんの様に雫から漏れ出た魔力が体の中で暴走して、死んでしまうかもしれなかった。だからあなたは魔力を放出させる生命の翼を彼女に与えた。生命の翼とセシルの体の中にある雫を魔力の糸で繋げる事で、魔力は空っぽの雫へと流れ込んで行く。そうすることで彼女の雫に抱えられた膨大な魔力は、暴走する事なく上手く放出されて行く。そして羽へと流れこんだ魔力が放出される時って言うのが、彼女が翼を使って空を飛んでいた時だ」
「……っ!」
その言葉に彼女は目を見張った。



