「そんなこと俺がお前に言わなくても、薄々分かってんだろぉ?」
「……では、やはり」
クラウンがシエルとに星の涙の欠片を移植しようとしたのですね。
しかし今目の前に居る彼らは酷い怪我を負っている。
と言うことは、移植の実験は失敗に終わったと言う事なのでしょうか?
「さて……」
ガンマは左腕に布を巻き終えるとゆっくりと立ち上がって、腰に刺さっている剣を鞘から抜いて見せた。
その姿を見たわたくしもマールの柄に手を掛ける。
しかしガンマはわたくしに背を向けると、さっき出て来た場所を通って中に戻って行こうとする。
「ま、待ちなさい! あなたまさかその怪我で中に戻ると言うの?!」
「ああ、そうだぁ。んなぁこと当たり前だろがよぉ」
「当たり前って……」
ガンマは歩く足を止めるとこちらへと振り返った。
「まだ助けなくちゃいけぇね二人が居るんだぁ」
彼のその言葉にわたくしはアルファとシエルの存在を思い出した。
そう言えば、シエルはともかくアルファの姿が見当たらない。
まさかまだ中に残って?!
「ガンマ、一つ応えてください。あなた方はクラウンを裏切ったのですか!?」
「…………ああ、そうさぁ。でなきゃこんな怪我なんて普通負わねぇだろうがぁ」
「……っ!」
ガンマは再びわたくしに背を向けると元来た道を戻って行く。
そんな彼の後ろ姿を見つめ、私は地面に寝かされたベータへと視線を動かす。
「……彼女は巻き込みたくないのですわね」
わたくしは鞘からマールを抜いた後、ガンマと少し距離を保ちながら彼の後を着いて行く。
『ねえ、セイレーン。欠片の移植が失敗したってことはさ、シエルって子は自分がこの世界のエアになる事を拒んだって事になるんだよね?』
「そうですわね。きっと拒んだのですわ」
先程ガンマが言っていた【裏切った】と言う言葉からして、それが正解なのでしょう。
だからクラウンがシエルを除く彼らを殺そうとした。
「これは思った以上に、厄介な事になりますわね」
わたくしとマールだけでは、きっと今のクラウンを抑える事は難しいでしょう。
今ここに居るだけでも、この下から嫌な魔力が感じられる。
その魔力の波動を肌で感じるだけでも、このわたくしが今直ぐ帰りたい気持ちにすらなってしまうもの。
「はあ……こうなるのでしたら、お父様にちゃんとお別れを言っておくのでしたわ」
『ちょっとセイレーン! 変な冗談言わないでよ!』
「いいえ、マール。わたくしは冗談なんて言っておりませんわ。本当に今回の事で、最悪の場合わたくしは死ぬかもしれないのですから」
『セイレーン……』
人間族と比べれば魚人族の体は頑丈に作られています。
だから滅多な事が起こらなければ、死に直面する機会なんてあっても二・三回程度で済みますわ。
しかし今回は滅多な機会でも何でもない、油断したら本当に死んでしまうかもしれない大惨事ですのよ。
「……では、やはり」
クラウンがシエルとに星の涙の欠片を移植しようとしたのですね。
しかし今目の前に居る彼らは酷い怪我を負っている。
と言うことは、移植の実験は失敗に終わったと言う事なのでしょうか?
「さて……」
ガンマは左腕に布を巻き終えるとゆっくりと立ち上がって、腰に刺さっている剣を鞘から抜いて見せた。
その姿を見たわたくしもマールの柄に手を掛ける。
しかしガンマはわたくしに背を向けると、さっき出て来た場所を通って中に戻って行こうとする。
「ま、待ちなさい! あなたまさかその怪我で中に戻ると言うの?!」
「ああ、そうだぁ。んなぁこと当たり前だろがよぉ」
「当たり前って……」
ガンマは歩く足を止めるとこちらへと振り返った。
「まだ助けなくちゃいけぇね二人が居るんだぁ」
彼のその言葉にわたくしはアルファとシエルの存在を思い出した。
そう言えば、シエルはともかくアルファの姿が見当たらない。
まさかまだ中に残って?!
「ガンマ、一つ応えてください。あなた方はクラウンを裏切ったのですか!?」
「…………ああ、そうさぁ。でなきゃこんな怪我なんて普通負わねぇだろうがぁ」
「……っ!」
ガンマは再びわたくしに背を向けると元来た道を戻って行く。
そんな彼の後ろ姿を見つめ、私は地面に寝かされたベータへと視線を動かす。
「……彼女は巻き込みたくないのですわね」
わたくしは鞘からマールを抜いた後、ガンマと少し距離を保ちながら彼の後を着いて行く。
『ねえ、セイレーン。欠片の移植が失敗したってことはさ、シエルって子は自分がこの世界のエアになる事を拒んだって事になるんだよね?』
「そうですわね。きっと拒んだのですわ」
先程ガンマが言っていた【裏切った】と言う言葉からして、それが正解なのでしょう。
だからクラウンがシエルを除く彼らを殺そうとした。
「これは思った以上に、厄介な事になりますわね」
わたくしとマールだけでは、きっと今のクラウンを抑える事は難しいでしょう。
今ここに居るだけでも、この下から嫌な魔力が感じられる。
その魔力の波動を肌で感じるだけでも、このわたくしが今直ぐ帰りたい気持ちにすらなってしまうもの。
「はあ……こうなるのでしたら、お父様にちゃんとお別れを言っておくのでしたわ」
『ちょっとセイレーン! 変な冗談言わないでよ!』
「いいえ、マール。わたくしは冗談なんて言っておりませんわ。本当に今回の事で、最悪の場合わたくしは死ぬかもしれないのですから」
『セイレーン……』
人間族と比べれば魚人族の体は頑丈に作られています。
だから滅多な事が起こらなければ、死に直面する機会なんてあっても二・三回程度で済みますわ。
しかし今回は滅多な機会でも何でもない、油断したら本当に死んでしまうかもしれない大惨事ですのよ。



