右手を差し出していたクラウン様は、僕の言葉を聞いてからゆっくりと腕を下ろした。

そして代わりに右目に魔力を注ぐと、左手を思い切り振り下ろした。

「だったらもう用済みだ。とっとと俺の前から……消えろ――」

クラウン様によって放たれた闇の玉が僕たち目掛けて飛んできた時、大きな爆発が研究施設を大きく揺らした。

✭ ✭ ✭

ねて……トトはどうしてあの時、私に【愛してる】なんて言ったんですか? 

あんな……辛い顔をしながら。
 
それはあの時に私が言った告白への返事だったの? 

それともトトも私の事がずっと好きだったから、最後にって事で私に告白したの?
 
ううん……きっと違うよね? 

だってトトはずっと私のためにその身を犠牲にしてくれた。

生まれた時からずっと、私を守るためだけに側に居てくれたんだから。
 
だからトトが私の事を……好きなはずがない。

こんな……トトの気持ちに気づいてあげられなかった、自分自身を偽らせてしまった私なんかの事なんて……。

「……お願い……星の涙……」
 
この世界の……本当の彼を……探して――

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「――っ!」
 
声が頭の中で響き渡った時、俺は閉じていた目をカッと見開いた。

そして額に浮かんだ汗を拭いながらゆっくりと体を起こした。

「……何だ? ……今のは?」
 
聞き覚えのない声が頭の中で聞こえた。

それは今にも泣き出しそうなくらい震えていた声で、とても後悔しているような感じの声音だった。

「……本当の彼を……探して……」
 
その言葉に俺は首を傾げた。
 
本当の彼を探してってどういう意味だ? 一体誰を探せば良いって言うんだ?

「ん〜……」
 
しかしいくら考えたところで、その言葉の答えが出るわけでもなかった。

「まあ……どうせ夢だし。考えたところで無駄だな」
 
そう呟きながら右肩を大きく回してその場で立ち上がった時だった。

「っ!!」
 
立ち上がった瞬間に右目が大きく反応した。

突然の反応に俺は慌てて右目を抑えて魔力の出処を探った。

「この魔力……! 間違いない! これはあいつの魔力だ!」
 
俺は足元に丁寧にたたまれていたフードを掴んで被り、走って洞窟から抜け出る。

洞窟を抜けると、目の前にはアルを含めるレーツェルとサファイアの三人の姿があった。
 
三人は俺の姿を見ると、少し驚いたように目を軽く見開く。

しかしアルは直ぐに何かを感じたのか、レーツェルとサファイアに視線を送ると口を開く。