ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「レーツェル。お兄様がどこに居るのか分かりますか?」

『人が多いところに行くと言っていましたので、もしかしたら広場の方に居るのかもしれません』

「広場……」
 
レーツェルの言葉に私は顔を歪めた。
 
出来れば人が多いところには行きたくなかった。

前はブラッドのマジックのおかげで、自由に街中を歩く事が出来たけど、今はそういうわけには行かない。

白昼堂々と自分の髪を晒して歩くだなんて、クラウンたちに自分の居場所を伝えているようなものだ。

「……早くお兄様と合流しましょう」

『そうですね』
 
私は覚悟を決めて足早に広場に向かって歩き始める。

すると一人の女声とすれ違った時に耳元で――

「あら、あなた面白い剣を持っておりますのね」

「っ!」
 
その言葉に私はレーツェルの柄を掴んで、咄嗟に横に飛んで構えた。

「ふふ、そんなに警戒しないでくださいませ。わたくしはあなた方の敵ではありませんわ」

「て、敵じゃない? でもあなたは」
 
私は少し警戒しながらじっと彼女の様子を伺う。

女性はくすくすと笑うと、真っ青な瞳で私を見つめてきた。
 
よく見れば女性の肌の所々に魚の鱗のような物が見られる。

髪の色はターコイズブルーのような水色で、そんな彼女の腰には剣が下げられている。

その剣に視線を送ったとき微かだけど魔力が感じられた。

「その剣……魔剣ですか?」
 
そう問いかけた時、彼女は目を丸くすると高笑いを上げた。

「まさか……直ぐに見破られるだなんて。流石でございますわね」

「そ、そんなに凄いことなのですか?」
 
私の言葉に彼女は小さく頷くと、来ているドレスの端をつまみ軽く頭を下げて名乗る。

「名乗るが遅くなってしまい申し訳ありません。わたくしは魚人族の長、【セイレーン】と申しますわ。どうぞ気軽にセイレーンとお呼び下さいませ」

「せ、セイレーン?!」
 
ど、どうして彼女がここに居るの?! 

……じゃあ彼女の腰にある魔剣は!