ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

この世界の人たちを幸せにする事が、エアとトトが本当に望んだ事だってパパは言っていた。

だからパパはその願いを叶えるために、オフィーリアが持っていた星の涙を探していた。
 
でもオフィーリアはパパの話を聞いても、頑なに星の涙を渡そうとはしなかった。
 
パパはみんなの幸せを願って頑張っているのに、どうしてオフィーリアもブラッドも理解してくれないの?

「だからね、シエル。お前には今からこの世界のエアになってもらおうと思うんだ」

「この世界のエア?」
 
それってオフィーリアの事じゃないの?

「エアになったお前にはまず、俺をこの世界のトトとして認めてほしい」

「そうすればパパの願いが叶うの?」
 
私の言葉にパパはニヤリと笑う。

「……なんだ。それが私にしか出来ないことなんだね」
 
それが私にしか出来ないことなら、私はやってあげるよ! 

パパやこれまでパパのために頑張ってくれたアルファたちのためにも、私がパパをこの世界のトトにしてあげる。

「それじゃあ、始めるよ」

「うん!」
 
パパが魔法陣の外へ出るのを見届けた私は、アルファへと視線を戻した。
 
アルファは表情を歪めながら心配そうに私のことを見てきている。
 
どうしてアルファはずっと、そんな辛そうな顔を浮かべているの? 

私がこの世界のエアになって、パパをこの世界のトトとして認めてあげれば、アルファを含める全ての人が幸せになれるんだよ?
 
もしかして私がこの世界のエアになったら、私が私じゃなくなるって心配してるのかな? 

でも安心してよ、アルファ。
 
私はただパパをこの世界のトトに選んであげれば良いんだから、私が私じゃなくなる何て事はないんだよ?

でも……なんだろう? 

さっきからずっと胸の辺りが痛いの。

私の中でずっと誰かが叫んでいる気がするの。