そんな中、あいつは私に【星空】と言う物について話してくれた。

「俺も一度しか見たことないっすけど、夜の空に浮かぶ星は本当に綺麗なんすよ。だからいつか、サファイアに星空と言う物を見せてやりたいっす。きっと驚くっすよ」
 
あいつは本当に星や天文学が好きで、その話をし始めたら誰かが止めるまで永遠と語り続ける。守護者たちの中でも、トトとエアを除く殆どは彼の話をあまり聞きたがらなかった。

しかし私は星の事について語っているコスモスを見るのが好きだった。
 
本当は初めての星空はお前と一緒に見たかったけど、まだ目覚めていないんじゃ一緒に星空を見るどころじゃないな。

「コスモ……お前と一緒に見ると約束した星空は、こんなにも美しくキレイな物だったんだな」
 
コスモス……コスモがハマる理由が分かる。

きっと今ここにお前が隣に居てくれたら、きっと星について色々と説明してくれたんだろうな。

「あれ、サファイア。こんなところでどうしたんだ?」

「ん?」
 
隣から声が聞こえてきてそちらへと視線を向けると、そこにはさっき【一人にしてくれ】って言ったきり、中々帰って来なかったブラッドの姿があった。
 
そして私はブラッドの姿を見てある違和感を覚えて目を細めた。

「お前……」
 
今目の前に居るブラッドは、出会った頃に比べるとどこかスッキリしているように見えた。

雰囲気も柔らかくなった気がするし、毎日感じていた殺気も感じられなくなっている。

「……何かあったのか?」
 
その言葉にブラッドは苦笑すると頬をかいた。

「いや……ちょっとな。こんなところで立ち止まっている場合じゃないって、そう思っただけさ」

「そうか……」
 
どうやらブラッドの方でも、上手く気持ちを切り替える事が出来たみたいだな。

何があったのかは分からないが、それでもブラッドを良い方向へ誘ってくれる出来事があったんだろう。