ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

【復習】という名の感情に囚われ、その感情に突き動かされるように、自分の目的を果たすまで絶対に立ち止まる事はない。

俺が……そうだったんだ。
 
ヘレナを連れて行った氷国の奴等が憎かった、ヘレナを奴隷にした奴が憎かった、ヘレナに自害しろと言ったあの男が憎かった、でも一番憎かったのは……彼女を守れなかった俺自身だった。
 
だからエアは俺のような人間が現れた時、その者が光ある道先を見失わないよう示してあげられるように、この力を授けてくれたのかもしれない。
 
こんな俺に光ある道を示してくれたレーツェルのように、愛した者を守れるようにと。

「……レーツェル、ありがとう」
 
俺は彼女の体を自分の元へ引き寄せて優しく抱きしめた。

そんな俺の腕の中で彼女は顔を真赤にしている。

「あ、あの……アムール様」

「お前は……何度も俺を救ってくれる。俺の欲しがっている応えをくれる」
 
レーツェルは俺に救われたと言ったが、きっと俺の方がお前にたくさん救われていると思う。

「レーツェルの言う通りエアがそう願ったのだとしたら、俺はブラッドが迷わないよう道を示す義務がある。だから俺はこれからブラッドがやろうとしている事に、全力で力を貸すつもりだ」
 
あいつがもう一度オフィーリアと出会えるなら、俺は何だってやるつもりだ。

もしその中であいつが道を踏み外した時、俺があいつの手を引くんだ。

「アムール様ならきっと出来ます。ずっと側で見てきた私には分かりますから」

「レーツェル……」

俺は彼女の頬に手のひらを当て顔を覗き込んだ。

するとレーツェルは頬を赤く染めると俺から目を逸した。

そんな彼女に俺は苦笑し、そのまま顔を寄せて目を閉じてから彼女に口づけをした。

「――っ!」
 
彼女はびっくりしたのか、ビクッと両肩を上がらせる。
 
もう……自分の気持ちを抑えるのは無理だ。

レーツェルが好きだと言う、愛おしいと言う思いが溢れて、もう自制が効きそうになかった。

俺は目を薄っすらと開け、顔を真っ赤にしているレーツェルを見つめた。