「アムール様。あなたは私を見つけてくれました。その手で私を光の世界へと誘ってくれた。そのおかげで、私の心は救われたんです」
そう言ってレーツェルは涙を流した。
その姿に驚いた俺は目を見張ったが、直ぐに彼女から目を逸して唇を軽く噛んだ。
「いや……そんなの救った事にはならないだろ」
優しく握られた手を見下ろした時、服の上から透けて見える彼女の腕の傷が見えて、俺は辛く表情を歪めた。
「お前の体には……消える事のない傷跡がたくさん残っている。俺は出来る事ならその傷跡を何とかしてやりたいと思ってる。でも……俺にそんな力はない。お前を救ったのだって、俺じゃなくてエアだ」
「アムール様……」
もっと俺に力があったら、レーツェルもブラッドもオフィーリアも全員守る事が出来たんだ。
でも今の俺は生きていた頃と変わらず無力だ。特別な力なんて何一つ持っていない。
「どうしてエアは……俺にこんな力を授けたんだろうな? こんな力……ブラッドのような男でなければ、何の役にも立たないだろ」
愛した人を思えば思うほど魔力を増していくだって?
こんな力……ただ魔力が増していくだけじゃないかよ。魔力が増したところで何の力にも。
「それはアムール様が誰よりも、人を愛する事を理解しているからではないでしょうか?」
「――っ!」
その言葉を聞いて俺はレーツェルへと目を戻した。
「アムール様は人を愛する事の意味を誰よりも知っています。大切な人を失って抱いてしまう感情も知っている。だからこそエアはブラッドのような、心から愛した一人の女性のために、本気の力を振るえる人の力になってほしいと、そう願ったのではないでしょうか?」
「……心から愛した……一人の女性のために……」
レーツェルの言う通り、俺は人を愛する事の意味や、大切な人を失って抱く感情を知っている。
大切な人を失って抱く感情はとても怖い物だ。
そう言ってレーツェルは涙を流した。
その姿に驚いた俺は目を見張ったが、直ぐに彼女から目を逸して唇を軽く噛んだ。
「いや……そんなの救った事にはならないだろ」
優しく握られた手を見下ろした時、服の上から透けて見える彼女の腕の傷が見えて、俺は辛く表情を歪めた。
「お前の体には……消える事のない傷跡がたくさん残っている。俺は出来る事ならその傷跡を何とかしてやりたいと思ってる。でも……俺にそんな力はない。お前を救ったのだって、俺じゃなくてエアだ」
「アムール様……」
もっと俺に力があったら、レーツェルもブラッドもオフィーリアも全員守る事が出来たんだ。
でも今の俺は生きていた頃と変わらず無力だ。特別な力なんて何一つ持っていない。
「どうしてエアは……俺にこんな力を授けたんだろうな? こんな力……ブラッドのような男でなければ、何の役にも立たないだろ」
愛した人を思えば思うほど魔力を増していくだって?
こんな力……ただ魔力が増していくだけじゃないかよ。魔力が増したところで何の力にも。
「それはアムール様が誰よりも、人を愛する事を理解しているからではないでしょうか?」
「――っ!」
その言葉を聞いて俺はレーツェルへと目を戻した。
「アムール様は人を愛する事の意味を誰よりも知っています。大切な人を失って抱いてしまう感情も知っている。だからこそエアはブラッドのような、心から愛した一人の女性のために、本気の力を振るえる人の力になってほしいと、そう願ったのではないでしょうか?」
「……心から愛した……一人の女性のために……」
レーツェルの言う通り、俺は人を愛する事の意味や、大切な人を失って抱く感情を知っている。
大切な人を失って抱く感情はとても怖い物だ。



