レーツェルが俺に救われた?
でも俺はレーツェルを救うような事をした覚えがない。何かの間違いじゃ……。
「初めてアムール様とお会いした時の私は、自分の意思を持たず、感情と呼べる物を全て捨てて、あの人たちにただ言われるがまま生きていた人形でした」
「……レーツェル」
レーツェルはこの世界に来るまで、聖国で聖教会の聖女として幼い頃から神の声を民に届けるように、たくさんの事を学ばされた。
だから俺たち守護石の中でも知識は豊富な方だ。
彼女は聖女として表向きは立派な女性だったと思う。
しかしその裏で聖教会は、レーツェルを都合の良い人形として操っていた。
そう教育されて育ったせいもあるが、一番そうなってしまった原因がレーツェル自身だったんだ。
レーツェルは幼い頃から聖女として厳しい教えを体に叩き込まれた。
そのせいで彼女の体には、絶対に消えない傷跡が体中に残ってしまっている。
一番酷いのは背中だ。
だから彼女は自分の体を、自分以外の誰かに見られる事を恐れていた。
初めて聖女の禊場で会った時も、彼女は顔を青くして慌ててタオルで体を隠していた。
そんな彼女の体を目にした時、俺は自分の目を疑った。
どうして聖女と呼ばれる彼女の体は、誰よりも酷い傷を多く持っているのか、どうして彼女はそんなに怯えていたのか、最初の頃の俺は理由を知らなかった。
レーツェルは幼い頃から何度も鞭で体を叩かれ、何度も罵倒されて育った。
そのせいでレーツェルの心は壊れてしまい、彼女は何もかもを捨てた。
残った物と言えば体にはっきりと残された無数の傷跡と、小さい頃から植え付けられたトラウマだけだった。
だがそんなレーツェルを救ったのがエアだった。
「あの頃の私は何もかも全て諦め、自分の意思を持たないで生きていました。それはその方法が一番楽だったからです。余計な感情があるせいで毎日怖い思いをして送いなら、感情なんて要らないと思っていました。でも……そんな私にエアとアムール様は光をくれました」
「……光?」
「はい」
レーツェルは俺との空いた距離を埋めると、そっと俺の手を取った。
でも俺はレーツェルを救うような事をした覚えがない。何かの間違いじゃ……。
「初めてアムール様とお会いした時の私は、自分の意思を持たず、感情と呼べる物を全て捨てて、あの人たちにただ言われるがまま生きていた人形でした」
「……レーツェル」
レーツェルはこの世界に来るまで、聖国で聖教会の聖女として幼い頃から神の声を民に届けるように、たくさんの事を学ばされた。
だから俺たち守護石の中でも知識は豊富な方だ。
彼女は聖女として表向きは立派な女性だったと思う。
しかしその裏で聖教会は、レーツェルを都合の良い人形として操っていた。
そう教育されて育ったせいもあるが、一番そうなってしまった原因がレーツェル自身だったんだ。
レーツェルは幼い頃から聖女として厳しい教えを体に叩き込まれた。
そのせいで彼女の体には、絶対に消えない傷跡が体中に残ってしまっている。
一番酷いのは背中だ。
だから彼女は自分の体を、自分以外の誰かに見られる事を恐れていた。
初めて聖女の禊場で会った時も、彼女は顔を青くして慌ててタオルで体を隠していた。
そんな彼女の体を目にした時、俺は自分の目を疑った。
どうして聖女と呼ばれる彼女の体は、誰よりも酷い傷を多く持っているのか、どうして彼女はそんなに怯えていたのか、最初の頃の俺は理由を知らなかった。
レーツェルは幼い頃から何度も鞭で体を叩かれ、何度も罵倒されて育った。
そのせいでレーツェルの心は壊れてしまい、彼女は何もかもを捨てた。
残った物と言えば体にはっきりと残された無数の傷跡と、小さい頃から植え付けられたトラウマだけだった。
だがそんなレーツェルを救ったのがエアだった。
「あの頃の私は何もかも全て諦め、自分の意思を持たないで生きていました。それはその方法が一番楽だったからです。余計な感情があるせいで毎日怖い思いをして送いなら、感情なんて要らないと思っていました。でも……そんな私にエアとアムール様は光をくれました」
「……光?」
「はい」
レーツェルは俺との空いた距離を埋めると、そっと俺の手を取った。



