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「ねえ……エア」

「何ですか? イト」

「エアは……トトが好きなの?」
 
その言葉に彼女は少し困ったように頬を赤く染めると、目を軽く細めて優しく笑った。

その姿に僕は思わず目を見張って、ああ……やっぱりなんだと思った。
 
前に本人から直接聞いた事があった。

彼女、エアは幼い頃からトトの事が好きだったみたい。

いつ頃から好きになったのかは分からないと言っていたけど、トトの話をしている時のエアは、本当にただの恋する女の子に見えて、僕もエアとトトが二人一緒に居るところを見ているのが好きだった。

二人は固い絆で結ばれているんだと、僕を含める守護者たち全員は思っていたと思う。

エアがトトを好きなら、トトもエアの事が好きなんだろうと僕は勝手に思っていた。

でも僕は直接トトから聞いた事がない。エアの事をどう思っていたのかって。

サファイアやアムールは守護者たちの中でも、あの二人と過ごした時間は長い。

だから二人に聞くことにした僕だったけど、サファイアはそういった話しは苦手だったから応えてはくれなかった。

でもアムールは少しだけ僕に話してくれた。

「ねえ、アル。トトはエアの事が好きなんだよね?」

「……さあな」
 
その言葉に僕は目を軽く見張った。

「エアがトトの事を好きなのは初めて見た時から知っていた。だがトトの方は未だに分からない。あいつがエアの事を誰よりも大切に思っているって事は分かるけど、でもそれが愛から来ている物なのかと聞かれれば……俺は違うと言う」
 
アルの言葉に僕の心臓の鼓動は早くなっていっていた。
 
そんなはずない! 

エアがトトを好きなら、トトだってエアの事が好きなはずだ! 

そう僕は心の中で何度もそう叫んでいた。
 
でもそれを言葉にする事が出来なかったのは、アルの言う通り僕も薄々感じていたからかもしれない。

トトはきっと恋愛的な意味で彼女の事が好きではないんだと。

彼にとってエアは誰よりも大切な存在で、必ず守り抜かなければならない存在。

だからトトはエアと一線を引いていたんだと思う。