あんな……ただエアの願いを叶えるためにこの世に存在しているだけの、人殺しの奴の願いを叶えようとしている星の涙なんて、この世界からなくなってしまえば良いんだ!!

「俺の願いを叶えるためには、あの星の涙の存在がどうしても必要なんだ。だから君には色々と話を聞きたい」

「……話?」

「そう、話だ。俺の願いと言うのはね、この世界に住む人々全員が幸せになれる世界を作ることなんだよ」
 
その言葉に俺は目を見張った。
 
本当にこの男がそんな事を望んでいるのか? 

じゃあ……その為にエアの末裔は全員殺されたっていうのか? 

俺たち以外の人々が幸せになれるように、そのために必要な犠牲だった言うのかよ!?

「でもその世界には君たちにも居てもらいたい」

「……は?」
 
クラウンは右目に浮かぶ魔法陣を輝かせると言う。

「約束しよう。俺がこの手で星の涙を手に入れた時、エアの末裔全員を生き返らせると」

「……っ」
 
エアの末裔全員を生き返らせる……だって? 

この男はたった今しがた、エアの末裔たちを皆殺しにしたところなんだぞ! 

もし本気で言っているんだったら、どうして殺す必要が会ったんだ?! 

後で生き返らせるから良いやとでも思っているのかよ!?

「それに君の妹は星の涙をその身に宿しているせいで、絶対に逃れられない運命を背負っている」

「……絶対に逃れられない……運命だって?」
 
そんな話は母さんから聞いたことはなかった。

母さんからされた話しは、星の涙をその身に宿した時、徐々に魔力を吸収されていってしまう事と、寿命が他の人よりも早まってしまう事。

そしてオフィーリアには話さなかった、星の涙がこの世に存在し続ける本当の理由だけだ。

なぜオフィーリアに話さなかったのは、それは母さんが亡くなった後で、俺が直接話をすると約束していたからだった。
 
でも……星の涙をその身に宿した時に、絶対に逃れられない運命がある事を、母さんは何一つ言っていなかった。

それはいったい……?

「人からの裏切り」

「――っ!」
 
その言葉に俺はハッとして目を見開いた。

「あの子はこの先、いったい何人の人たちに裏切られて行くのかな? その中にはきっと愛した人だって居るはずだ。心から愛していた人に裏切られたら、あの子はどんな風になってしまうんだろうね」

「……やめろ」

「それにあの子は星の涙を体に宿してしまった事によって、愛した者より早くに死んでしまう。きっと愛した人が勇敢な人ならば、その人は彼女を守ろうとして命を張るかもしれないね。そして自分のせいで命を落としてしまったら、あの子は何度後悔する事になるのかな?」

「やめろよ!!!」