「文句を言っても仕方ないだろ。ほら、行くぞ」
 
レオンハルトは呆れながら息を吐くと、俺に背を向けて先にホテルの中へと入って行く。

そんなレオンハルトの背中を睨みつけながら、俺は怒りで体を震わせた。

「あいつ……! 俺のことこき扱う気満々じゃねぇかよ!!」
 
目を細めて顳かみをピクつかせながら、レオンハルトの後を追って俺もホテルの中へと足を踏み入れた。

「はあ……まったく」
 
こんな事になるならあの金貰っておくんだった。

✩ ✩ ✩

「よし、じゃあ行くか」

「……」
 
渋々ホテルにチェックインして部屋に荷物を置いて来てから、俺はレオンハルトにマジックの魔法を掛けた。

そしてお互いに変装した俺たちは、ここから見てもとても賑わって見える広場に向かって歩き出した。
 
はあ……要らん事に魔力を使ってしまった。

変装くらい自分で出来るようになれよな……。

それでも魔道捜査一課の人間かよ……。
 
まあ変装って言っても、レオンハルトの場合は赤髪を青髪へと変えて、素顔がバレないようにサングラスを掛けさせただけなんだけど……。
 
俺も俺で金髪を青髪へと変えて、右目には当然眼帯を付けている。

たったその程度の変装だ。

「さて、まずは誰に聞き込みをして行くかだ」

「そんなの最初は誰だって良いだろ? つうか一応確認しておくけどさ」

「なんだ?」
 
俺は軽く首を傾げるレオンハルトに指をさして言う。

「良いか? 俺たちは双子の探偵で、今回はとある依頼の人探しって事で、この街に情報を集めに来たって事になっているんだから、変に勘ぐられないようにしてくれよ」
 
まあ、レオンハルトは俺よりも聞き込みとかには慣れているし、その辺りは大丈夫だとは思っているけど……。