ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

「あ、あのクラウン様が……イメチェン?!」
 
イメチェンと言う言葉に、アルファは信じられないとでも言うように顔を引きつらせていた。

でもアルファがそんな顔を浮かべてしまうのも無理もない。
 
今まで一切オシャレという物に興味がなかったあのクラウン様が、いったいどういう風の吹き回しなんだと、そう思ったに違いない。
 
私たちの知るクラウン様は、とにかく服は着られれば何でも良いと思っている人で、最悪同じ服も何着か持っていたりもして、さすがの私でも少しくらい身なりに気を使って頂きたいと思ったことは何度かある。

あ……だから今日はこんなに天気が最悪だったのか。
 
そう思って窓の外を見つめた時、窓ガラスに映っているクラウン様の姿に私は鳥肌がたった。
 
今までに感じた事のない禍々しい魔力をクラウン様から感じられた時、一滴の汗が私の頬を伝った。

そんな私の様子に気がついたのか、クラウン様は目を細めると私との距離を縮めてきた。

「どうしたんだ、ベータ? さっきから様子が変に見えるけど?」

「……いえ、そんなことはありません。……ただ」
 
アルファとガンマもじっとクラウン様の様子を伺っていた時、二人も何か思うところがあったのか、ベッドから出るとクラウン様を逃さないように背後に立った。
 
そんな私たちの姿に、クラウン様は軽く笑った。

「ふっ……。二人もそんなに警戒しなくても良いだろ? 俺はいつも通りの俺だよ」

「……だと、良いですけどね」
 
アルファはクラウン様をギロリと睨みつける。

しかしクラウン様はそんなアルファを特に気にする事なく言葉を続けた。

「話しは変わるけど、明日の早朝にこの村を出て東の果てに向かう」

「東の果てですか? エアの末裔を探すという目的はどうするんですか?」
 
私の問いかけにクラウン様はニヤリと笑みを浮かべた。

「その東の果にエアの末裔が居るんだよ」
 
クラウン様の言葉に私たちは目を見張り、三人一緒に窓の外を見つめたのだった。