ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.2

そのせいでアルファの心には深い傷が出来てしまった。

それはクラウン様や私たちでも癒やしてあげる事の出来ない物だ。

「それにあなた一人じゃものっすごく心配なんですよ!」

「……えぇっ!?」

「朝は自分で起きられないし、出かける時に必要な荷物は全部ベータが用意しているし、魔法や料理以外はからっきしで、いざ危険は目に合った時だって絶対あなた一人じゃ対処出来ないでしょ!」

「そ、そこまで言う……?」
 
アルファの言葉に私たちは何度か頷いて見せた。
 
確かにアルファの言う通り、このままクラウン様に一人旅をさせるのは危険だと思っていた。

「どうしても一人で行くって言うんだったら、まずは一人で何でも出来ますってところ、僕たちに見せてからにして下さい! まあ、絶対に無理だと思いますけどね?」
 
さっきのセシル様の件で怒っているのか、アルファの口調がいつもの調子に戻ってしまっている。

クラウン様に有無を言わせる前に結論付けるのはどうかと思うが、正直私も無理だと思ってしまっている自分が密かにいて……何も言えない。
 
クラウン様もアルファの言葉に苦笑したままで、どうやら何も言い返す事が出来ないようだった。

それから少し間を置いたクラウン様は、軽く息を吐くと渋々と頷いてみせた。

「……分かった。君たちの事もこの旅に連れて行くよ」
 
その言葉に私たち三人は顔を見合わせて笑った。

そして旅をする準備が整った三日後に、私たちはエアの末裔を探す旅に出た。
 
それからだ全て上手く行っていたはずの歯車が狂い始めたのは……。