✩ ✩ ✩
「アルファ〜……アルファってば!」
「っ!」
昔の事を思い出していた時、突然彼女の顔が側にあって、僕の頬は熱くなった。
「もう! そんなに考え込んでどうしたの?」
「い、いえ……別に、何でもないですよ」
そう言って僕は何もないように笑った。
彼女はあの日の事を覚えていない。
クラウン様が彼女の記憶を消したのか、それともシエル様が自分で記憶を封じ込めてしまったのか、それは今となっては分からない。
「そう言えば、シエル様。今日はクラウン様から大切なお話があるそうですよ」
「大切な話? なにそれ?」
僕の言葉に彼女は小さく首を傾げた。
その姿を少し可愛いと思いながらも、僕は言葉を続けた。
「遂にシエル様にも話すそうですよ。僕たちがこれから何をしようとしているのかってね」
「えっ! 本当に!」
シエル様はとても嬉しそうに瞳を輝かせると、その場で一回転した。
そこまでして喜ぶ程のものだろうか……。
「じゃあこれで私も、ようやくみんなの力になれるんだね!」
そう言ったシエル様は無邪気な笑顔を浮かべた。
でもそんな彼女の横で、僕は表情を歪めた。
クラウン様はきっと今日にでも、シエル様に欠片の移植を始めるつもりだ。
シエル様の内にある、【エアの末裔たちを殺してかき集めた雫】と欠片をくっつけて、一つの星の涙を完成させる。
そうすれば星の涙は再びこの世に存在し、シエル様がこの世界のエアとなられる。
シエル様はその為にクラウン様に用意された器だ。
殺したエアの末裔たちの肉塊を使って作られた彼女の体は、星の涙の魔力に耐えられるはずだ。
なんせ彼女の体の核として主に使われた肉塊が、オフィーリアさんの母親であるシルビアさんの物なのだから。
シエル様がこの世界のエアになれば、クラウン様の願いは叶えられる。
だからこれはその為に必要なことなんだ。
でも僕は……。
「ねえ、シエル様」
「ん? 何アルファ?」
「アルファ〜……アルファってば!」
「っ!」
昔の事を思い出していた時、突然彼女の顔が側にあって、僕の頬は熱くなった。
「もう! そんなに考え込んでどうしたの?」
「い、いえ……別に、何でもないですよ」
そう言って僕は何もないように笑った。
彼女はあの日の事を覚えていない。
クラウン様が彼女の記憶を消したのか、それともシエル様が自分で記憶を封じ込めてしまったのか、それは今となっては分からない。
「そう言えば、シエル様。今日はクラウン様から大切なお話があるそうですよ」
「大切な話? なにそれ?」
僕の言葉に彼女は小さく首を傾げた。
その姿を少し可愛いと思いながらも、僕は言葉を続けた。
「遂にシエル様にも話すそうですよ。僕たちがこれから何をしようとしているのかってね」
「えっ! 本当に!」
シエル様はとても嬉しそうに瞳を輝かせると、その場で一回転した。
そこまでして喜ぶ程のものだろうか……。
「じゃあこれで私も、ようやくみんなの力になれるんだね!」
そう言ったシエル様は無邪気な笑顔を浮かべた。
でもそんな彼女の横で、僕は表情を歪めた。
クラウン様はきっと今日にでも、シエル様に欠片の移植を始めるつもりだ。
シエル様の内にある、【エアの末裔たちを殺してかき集めた雫】と欠片をくっつけて、一つの星の涙を完成させる。
そうすれば星の涙は再びこの世に存在し、シエル様がこの世界のエアとなられる。
シエル様はその為にクラウン様に用意された器だ。
殺したエアの末裔たちの肉塊を使って作られた彼女の体は、星の涙の魔力に耐えられるはずだ。
なんせ彼女の体の核として主に使われた肉塊が、オフィーリアさんの母親であるシルビアさんの物なのだから。
シエル様がこの世界のエアになれば、クラウン様の願いは叶えられる。
だからこれはその為に必要なことなんだ。
でも僕は……。
「ねえ、シエル様」
「ん? 何アルファ?」



